モー娘。小田さくらが語りつくす、武道館コンサートの裏側とこれからの話

モーニング娘。’21の小田さくら(Photo by Rika Tomomatsu)



つんく♂さんの歌詞の読み解き方

—つんく♂さんの曲ではない「ビートの惑星」も武道館で聴いてあらためていいなと感じました。モーニング娘。の新しい一面が出ているなと。

小田:タイトルに「ビート」って入ってますし、モーニング娘。らしいリズムが大事な曲を作ってくださったんだなって思います。武道館でやってみてライブ映えするなと感じました。私はこの曲をレコーディングした時、ほどほどに裏声と地声を行ったり来たりして、ちょっとだけムーディな歌い方で録ったんですけど、ライブだとパーンって地声が出たんです。だから、自然とスイッチが入る曲というか。テレビの歌番組とかじゃなくて、ライブでやった方が良さが活きる気がしました。大きな会場で人前で歌いたい一曲です。



—「Teenage Solution」「よしよししてほしいの」「ビートの惑星」の中だと、小田さん的に特にチャレンジングだった曲はどれですか?

小田:「よしよししてほしいの」が歌唱的にも難しいし、自分の中で自分の実力を思い知らされる曲でした。特に歌詞を噛み砕くのが大変で。「よしよししてほしいの」って、女の子が男の子に言ってるわけじゃない、そもそも恋愛の曲じゃないって気がつくまでに時間がかかったんです。最初はカップルで、彼女が彼氏に言ってるんだろうと思ってました。でもこれは恋愛の歌じゃなくて人間の歌なんだなって気づいてからは、歌詞の内容もすごく理解できたんです。男の人の目線でも、自分を評価してくれない上司とか、うまいこと出世していく同僚とか、そういう人を思い浮かべて聴いてもらうと、グッと来るかもしれません。そのことに気づいたのは、ミュージックビデオも全部撮り終わった後のことでした。だから、ミュージックビデオではこの曲に合った表情をしていないと思うと、本当は撮り直したいくらいです(笑)。

—(笑)パフォーマンス面だけじゃなく、歌詞も自分の中で「これだ!」って感覚になるまでに時間がかかったりするんですね。

小田:ありますね。ここ1年くらいで、やっとつんく♂さんの歌詞の読み解き方がわかってきた感じがします。「恋愛Destiny〜本音を論じたい〜」もすごく深いこと言ってるのに、曲の楽しさばっかりに気をとられてたなと。熱く苦しい歌なのに、曲が明るいのでそっちに引っ張られてて、佐藤さんの卒業の武道館で歌って初めて「あ、こういう曲なんだ」ってわかる。だからまだまだだなって思います。今、10年目にしてやっと私はそこに行き着いたんだなって感じがして、そういう意味でも、つんく♂さんの最近の歌詞は特に難しいです。昔の曲の方がもうちょっとわかりやすかった気がします。つんく♂さんってメンバーの年齢に合った曲を書いてくださるので、最近メンバーが大人になってきたから、歌詞も難しくなってきたのかなって感じてますね。



「笑顔の君が太陽さ」とかは、中学生にもわかりやすい言葉だったんですけど、私たちの年齢が上がって、本能的なところに語りかける歌詞が増えてきて。あたかもその話はしてないかのようにその話をしてるみたいな感じで、難しいです。「青春Night」と「人生Blues」は同じシングルで出したんですけど、「青春Night」の曲調はファンクでめちゃめちゃ明るいけど、泣き腫らしているような子の歌で、「人生Blues」の方がエスニックで暗いんですけど、前へ前へってメッセージの歌で、曲調と歌詞の内容が逆なんですよね。「Do it! Now」って曲も、恋愛の最高潮にハッピーな瞬間の歌なのにクールなR&Bって感じで。つんく♂さんの歌ではあるあるなんですかね。







—「本能的なところに語りかける歌詞」っていうのは、ブログに小田さん書いてましたけど、「みんな頑張ってて言いたいけど言えないことをモーニング娘。が代弁したり」「モーニング娘。はわかってるよ!って寄り添えるようなパフォーマンスがしたい」っていう想いと少しリンクしますよね。

小田:「よしよししてほしいの」は歌詞を理解してから聴くと涙が出てきました。私は特に“問題児扱いするじゃん”のフレーズが悲しく感じて。集団の中で一人でいることで場を乱してたり、チャンスを逃してたりするのかもしれないけど、それは自分が醒めてるってこととは違うというか。私もよくあるんです。私は熱い考え方をするタイプだし、人の心とか、平和とか、考えてるテーマみたいなものが大きいから、そういう本音を話すと、周りに引かれることもある。佐藤さんと私の歌でもあるんですけど、多分佐藤さんも、自分には音楽がこう聞こえるんだ、って本音を周りに話した時に、「変わってるね」とか言われたりすることがあると思うんです。

「問題児扱いするじゃん」っていうのは怒ってる言い方だと思ってたんですよ。でも本当は落ち込んでるだなと。「じゃん」って言葉が、女の子の悲しい口調に聞こえて。そこに気づくまでが大変だったけど、気づいてからはすごく腑に落ちた。まあ、佐藤さんは本当に問題児的なところがあるから難しいんですけど(笑)。でも私も、そういう、人とはちょっと違った考え方とか、夢物語的なことを本気でやろうとしてたりすると、そうだねそうだね、とか、本当にそんなこと思ってる人いるんだ、みたいに扱われたりすることがあって。「問題児扱いするじゃん……」って思ったことはないけど、自分の話なんだなぁと。

ーなるほど。

小田:2番の歌詞で“本音を話すと/なんかその後ぐったり/脱力感が残る”ってあって、その「脱力感」ってワードにも共感しました。いい本音だろうが悪い本音だろうが、(本音を)話した後って、言ってよかったのかなとか、今の話ってするべきだったのかなってぐったりする感じがあるんです。「この曲を聴いてると涙が出てくる」とか「悲しくなるけど、元気が出る」とか、ミュージックビデオが公開されて、YouTubeのコメント欄にいろんな感想を書いてるファンの方がたくさんいて、私よりこの人たちの方がつんく♂さんの曲を深く聴いてるなと痛感しました。私はちゃんと(歌詞を)理解していない状態でビデオを撮られているのに、先にそこまで辿り着いてるファンの方がいるので、恐れ多いですね、本当に。まだまだだなって感じです。


Photo by Rika Tomomatsu

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