モー娘。小田さくらが語りつくす、武道館コンサートの裏側とこれからの話

「小田ちゃんにしては」の呪縛

—佐藤さんが卒業した今、小田さん目線で2022年からのモーニング娘。’22をどうしていきたいと考えていますか?

小田:佐藤さんがいたときのパワーをキープしようとするのではなく新しいものをやっていきたいと思ってます。確かに佐藤さんは支持率も高くて、一番注目されていたメンバーと言ってもいいと思うんですけど、それでもみんな前向きなのと、ここ最近のメンバーの音楽に対する姿勢が変わってきたことが今後プラスになっていくんじゃないかなと思います。音楽に興味のある子が多いので、そういうところを出していきたいです。EDMとは?みたいな時期に比べると、これはシャッフルってリズムなんだな、とかすぐに共有できる。そういうのを理解するだけで曲に馴染むと思うんです。声も楽器の一つだと思うので、曲がキュッとまとまりやすいというか、一曲一曲のクオリティをまずは上げていきたいです。

「アイドルだけれども、音楽」ってつんく♂さんがずっと言ってきていることを、今のメンバーなら立ち向かえる気がするんです。ダンスも、石田(亜佑美)さんと(加賀)楓とちぃちゃん(森戸知沙希)は、新しい知識や経験を増やそうと頑張ってる最中なので。でもプロ集団になりすぎて、モーニング娘。の泥臭さとか青春っぽさが抜けるのは嫌なので、普通の女の子が必死に足掻いてる感じも残したいとは思います。2年間みんな沸々としていたので、こっからは勢いも上がる一方な気がしてます。けど油断はせずに。


13人編成のモーニング娘。’21:前列左から譜久村聖(リーダー)、牧野真莉愛、石田亜佑美(サブリーダー)、北川莉央、小田さくら、羽賀朱音、山﨑愛生、後列左から生田衣梨奈(サブリーダー)、加賀楓、岡村ほまれ、野中美希、森戸知沙希、横山玲奈

—小田さん自身のコンディションはどうですか? 2021年は喉の状態が不調で(「機能性発声障害」と診断されたことを8月に公表)、歌唱をセーブしてステージに立っていた時期もありましたが。

小田:声が出づらいということを公表したことで、ちょっと安心したところもあって。私は「小田ちゃんにしては」みたいに言われるのが好きじゃなくて、自分に劣るって一番嫌じゃないですか。だから「小田ちゃんにしてはよくなかった」っていうふうに言われなくなっただけで、私的には心の余裕ができたんです。その間にボイストレーニングも行きましたし、歌い方もいろいろ考えました。で、こないだの武道館では私を好きな人に満足していただけるパフォーマンスができたと思ってます。今のところ、期待以下だったってことはなかったつもりです。正直この1年は、“小田さくら”本来のレベルまで追いついていないステージもあったりしたんですけど、武道館はすごく小田さくらっぽかったなって思います。ここからさらに整えて、崩さないようにしていきたいです。

—喉に関しては、ボイトレに通ったりしてうまく向き合えるようになりましたか?

小田:「小田ちゃんにしては」っていうのが好きじゃなかったのと同じように、私が自分に対して期待していたところもあったと思います。私と“小田さくら”って別のところにあるっていうか、私もアイドル・小田さくらには夢を見ているので、その人が崩れていくのが嫌だったんです。でもそれは自分のせいであって、私しか解決できないのに、こんがらがってしまって。常に120%で歌ってるというイメージを皆さん持ってると思うんですけど、100%で満足されない感じがちょっと理不尽じゃないかって勝手に思いこんでしまったんです。普通は100%で褒められるのに……と思いましたけど、私がこの9年間、120%でやってきたということを認めてもらっていることの裏返しでもあるから、じゃあもうその上を目指すしかないと思って踏ん張りました。

9年間、失速しないってめちゃめちゃ難しいことなんです。でも「よしよししてほしいの」の歌詞が解読できるようになってきたとか、音楽の知識が増えてきたとか、これまでできなかったことが今になってできるようになってきた。それって多分まだできるってことなのかなって思いつつ、また期待しすぎるとそれに及ばない自分に嫌になって、ということになりかねないので、バランスはとりながら。自分に期待し続けるのも私のよさだと思うんです。ボイストレーニングも私の力ではなくて、先生に助けてもらって乗り越えたものだと思うので、そういうふうに人の力をうまく借りながら頑張っていきたいです。メンバーのこともすごく好きですし、メンバーと周りの人に支えてもらいながら、でも自分でやる前提で、ちょっと助けてもらおうくらいの感じでできたらなって思います。

—そういう話を聞いてると、フィジカルとメンタルって大事なんだなって思います。それぞれ支え合ってベストな状態に持って行くというか。

小田:そうなんですよ。多分下手になったわけじゃなくて、失速した感じが嫌だったんだと思うんです。でも確かに年齢を重ねて、出せる音域が変わったりすることもあって、本当は前よりできることが増えてるのに、そこを見れなくなったんですよね。できるようになった部分じゃなくて、できない部分ばかり目立つようになってしまったというか。今はそのへんがしっかり見られるようになりました。

—最後に、武道館のMCで言ってた髪型の件なんですけど……(「2年前の単独コンサートから髪にハサミを入れていない。(伸びた)髪の長さは私たちと皆さんが沸々とした時間を表している」といった内容の話)。

小田:あ、髪の毛、違いますよ〜(笑)。あれ、なんか私が執念深い女みたいな(笑)。この2年間わざと伸ばしてたわけじゃなく、5cmずつとか、痛む分はちゃんと切ってるんです。私、2年前に毛先を紫にしたんですね。ただ、紫ってナチュラルなものに似合わないので、例えば写真集を出すとか、他のメンバーとの髪型のバランスで「小田、ちょっと紫やめて欲しいんだけど」って言われた時のために、いつでも切り落とそうとは思っていて。そしたらなかなかその機会が来ず、ちょうどそれがコロナ禍の2年間だった。だからこの髪型が結果的にその時間を表すことになったなって。で、私も自分の髪を鏡で見て、うわぁ、2年って長いんだなって感じたりする……っていう話をしたら、この2年、単独公演ができるまで意地でも髪切らなかった人みたいになっちゃって(笑)。もし意地でも2年切らなかったら、多分あと15cm長いんで、お尻が隠れるくらい。まぁ確かに言葉が足りてなかったんですけど、髪に念を込めてたら怖いじゃないですか(笑)。でも私ってそういうことしそうですよね。それはすごくわかります。本当はブログとかに書いてもよかったんですけど、訂正するようなことでもないし、そういうストーリーだったらロマンチックでいいかなと思って。

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Photo by Rika Tomomatsu

<INFORMATION>


『Teenage Solution/よしよししてほしいの/ビートの惑星』
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1/2(日)    中野サンプラザ (東京)
1/3(月)    中野サンプラザ (東京)
1/4(火)    中野サンプラザ (東京)
1/8(土)    中野サンプラザ (東京)
1/9(日)    中野サンプラザ (東京)
1/15(土)    上野学園ホール (広島)
1/22(土)    日本特殊陶業市民会館 フォレストホール (愛知)
1/23(日)    日本特殊陶業市民会館 フォレストホール (愛知)
1/29(土)    オリックス劇場 (大阪)
1/30(日)    オリックス劇場 (大阪)
2/5(土)    中野サンプラザ (東京)
2/6(日)    中野サンプラザ (東京)
2/11(金・祝)    仙台サンプラザホール (宮城)
2/19(土)    札幌文化芸術劇場 hitaru (北海道)
2/26(土)    福岡国際会議場 メインホール (福岡)
2/27(日)    福岡国際会議場 メインホール (福岡)

詳細ページ: 
http://www.helloproject.com/event/detail/09f68553ab68f4e7a8b3f2dd5876ab2024f3 d852/

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