地獄絵図の大渋滞、救世主はトラック運転手 米

州間高速道路95号線のバージニア州スタフォード付近でトラックが立ち往生(Photo by Steve Helber/AP)

米東部を襲った3日から4日にかけての大雪で、各地の交通機関が混乱。バージニア州の高速道路では積雪・路面凍結の影響で大渋滞が発生した。半日以上もその場で立ち往生することになったドライバーに救いの手を差し伸べたのは、トラック運転手たちだった。

【動画を見る】我慢の限界「10時間で16キロしか進まない」車内から見た光景

トラック運転手のエミリー・スローターさんとミシェル・ラッシャーさんは職業柄、悪天候や道路閉鎖にアンテナを張っている。だが4日未明、運送会社New Prime社に勤務する2人が州間高速道路95号線(I-95)を南へ走らせていた時、ラジオでの道路交通情報も電子案内板も稼働していないことから、想像を絶する最悪の交通渋滞が待ち構えていると察知した。

その日の深夜1~2時、ラッシャーさんとスローターさんはバージニア州北部で、雪に覆われて凍結した高速道路で大渋滞に巻き込まれた。前日に突如発生した冬の嵐によりワシントンD.C.郊外を走る高速道路は真っ白に覆われ、大勢のドライバーが(その中にはティム・ケイン上院議員もいた)一晩中立ち往生し、凍てつく気温の中で水も食料もなく、ガソリンを節約しながら暖を取っていた。

「これまでにも、毎日のように交通渋滞に巻き込まれました」。ラッシャーさんとともになんとか国道1号線までたどり着いたスローターさんは(もっとも、代替ルートのほうもひどい状態だったが)ローリングストーン誌にこう語った。「でも、今回のは今まで経験した中でも最悪です。天候や事故で足止めを食ったことは前にもありますが、事故で足止めを食った場合でも、どんなに長くても1時間、あるいは1時間半ぐらいでしたからね」

「私もアリゾナ州のフラッグスタッフやワイオミング州で足止めを食らったことがあります」とラッシャーさんも言う。「ワイオミングでは案内が出ていましたし、フラッグスタッフでは州警察を派遣して、その場にとどまるよう指示するか、次の出口まで案内してくれました。今回はまったく見当もつきませんでした」

大混乱の原因について、スローターさんは単刀直入に「十分に除雪しなかったか、路面に塩をまいていなかったんですよ。それが実情です」

26歳の学生テラ・ハルスさんは、東海岸時間の3日午後4時頃に渋滞に巻き込まれた。恋人と2匹の犬とともに、ノースカロライナ州からワシントンD.C.の家へ戻る途中だった。フレデリックスバーグ観光センターの看板のあたりで、車の流れが止まった(よりによって、この時車内では雪山で遭難したドナー隊についてのPodcastが流れていた)。彼らもまた前方の状況が全く分からない状態だった。ハルスさんがマップに目をやると予想所要時間は30分のまま動かず、ラジオから流れてくるのは学校閉鎖のニュースばかりだった。その後10時間、凍結した路面をジープがスリップしないよう苦労しながらノロノロ運転したが、たった10マイル(約16キロ)しか進まなかった。

「バージニア州運輸局は『救助隊員があなたのもとに向かっています、非常用品をお渡しします』というようなツイートを発信していました」と彼女は言う。「でも誰の姿も見かけませんでした」

Translated by Akiko Kato

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