地獄絵図の大渋滞、救世主はトラック運転手 米

愛車のジープでなんとか生還

4日の深夜2時頃、ガソリンも残り半分になり、食糧はクッキー1袋だけという状態で、ハルスさんは愛車のジープがどれだけ頼りになるか試してみることにした。彼女はハンドルを切って路肩を越え、後方に車の列を従えて、なんとか道なき道を進んでいった。一行はバージニア州ウッドブリッジの出口付近にある丘の頂上までたどり着いた。目の前に開けた車線がまっすぐに伸びていたが、そこから先は警察に封鎖されていた。それから数時間、再び足止めを食らった。塩を運搬するトラックがやって来て、続いて警察が道路を閉鎖し続けたためだ。渋滞の中から軽トラックが強行突破を試みたが、その後も渋滞は続いた。

「後方では車が大渋滞を起こしていて、警察は交通整備や救助をするでもなく、二車線を封鎖してパトカーに座っていました。まるで『自分たちでどうにかしろ』と言わんばかりでした」とハルスさん。「幸運にも、なんとか塩をまいた路面に戻ることができました。真っ先にガソリンスタンドに立ち寄って、トイレを借りました。この時点で朝6時だったんです。D.C.に戻ったのはその日の朝7時30分で、まさにベッドに倒れこみました」

ノースカロライナ出身海兵隊員アイザック・アルコスさん(23歳)も、3日の夜遅くに渋滞に巻き込まれた。クアンティコの海兵隊基地に向かって北に車を走らせていた時だった。やはり前方の惨状を知らせる警告はなく、彼もまた車内で一晩過ごす羽目になったそうだ。

「外はおよそ18℉(-7.8℃)でした。車体の断熱性がよくなかったので、エンジンを切って、携帯のアラームを30~40分おきにセットして、目が覚めたら再びエンジンをかけて暖房をつけていました」と言って、さらにこう付け加えた。「軽食は何もありませんでした。パンはありましたが、それだけです。でもどのみち食べたい気分じゃありませんでした――疲労困憊して、空腹どころじゃなかったんです」

ハルスさん同様、アルコスさんもなんとか渋滞を逃れようとし、気づけば通り過ぎたトラックのわだちの上を走っていた。なんとか半マイルほど進んだものの、雪の中で車が立ち往生してしまった。「当然、いささかパニックになりました。どうやってここから出よう、恥をさらすわけにはいかない、と車内で大慌てでした。でもその時どこからともなく2人のトラック運転手が現れて、路上に戻るのを手伝ってくれました」

Translated by Akiko Kato

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