『ザ・ビートルズ:Get Back』が永遠に語り継ぐべき名作となった24の理由

13.
コール・ポーターの代表曲で、ジュディ・ガーランドが世に広めた「Friendship」の一節をジョンが歌い上げるシーンは見ものだ。“あなたがパーティの場にいたら、私も行く/あなたが酷い目に遭っていたら、私の胸を揉ませてあげる!”

14.
ピーター・ジャクソンが本作の18時間バージョンを公開するとしたら、ジョージがディランの「Mama, You Been On My Mind」と「I Threw It All Away」を歌うシーンは是非ともフルで収録して欲しい。ブートレグ音源は広く出回っていたが、その様子を映像で観られるなど、誰も夢にも思わなかったはずだ。

15.
1969年当時の多くの男性ミュージシャンたちの在り方を考えれば、ヨーコとリンダ、そしてモーリンに対する彼らの敬意の払い方は賞賛に値する。ミック・ジャガーが「リンダはカメラマンなんだ」と発言するところは、はっきり言って想像がつかない。リンゴがヨーコにガムを差し出すシーンで、彼女が見せる笑顔は実に印象的だ。彼女はそのガムを半分に折り、片方をジョンに手渡す。彼女がリンゴに見せた笑顔は、52年間に渡って保管庫で眠り続けていたのだ。メンバーたちがインドを訪れた時の思い出について語る場面(ピーターはあの部分だけでドキュメンタリーを1つ作れるはずだ)で、ポールはシンシア・レノン、ジェーン・アッシャー、そしてパティ・ハリスンに対して好意的な言葉を向けている。またEileen KensleyやSue Ahearneなど、会場の外で出待ちをしていたバンドの追っかけの女性たちに対しても敬意を払う様子が描かれている。彼女たちのことを特に気にかけていたのはポールだ。彼は彼女たちに微笑みかけたり、手を振ったりしたわけではなかったが、常にその存在を認識していた。彼にとっては、彼女たちの存在こそが何よりも重要だったのだ。



16.
『December’s Children』期のミック・ジャガーを思わせる髪型をした、中性的で極めて魅力的な男性が誰なのか随分気になっていたのだが、それがエンジニアのアラン・パーソンズ(そう、アラン・パーソンズ・プロジェクトの彼だ)だと判明した時は衝撃を受けた。もしくはジョンならばこう言うだろうか、「びっくりしたけど感動的だしドキドキしてしまう(It turns me off but blows me mind and floats me upstream)」

Translated by Masaaki Yoshida

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