虚言の果てに両親殺害、死体をバラバラにした23歳息子の謎 米

大学事務局とのメールのやりとりを捏造

デーン郡のウィリアム・ブラウン地方検事補は4日に行われた検察側の冒頭陳述で、ハルダーソン被告が実際は1学期前後で退学になったにも関わらず、再生エネルギー工学を勉強しながら就職も内定したという話をもっともらしく見せるために「見事な嘘の網を張り巡らせた」と述べた。彼は大学事務局との数十件におよぶメールのやりとりを捏造し、進学アドバイザーのふりをして使い捨て携帯で父親と会話までした。会計士の父親が、なぜ1年近くも給料が支払われないのかと尋ねると、被告は給与振り込みの情報に手違いがあったという言い訳をでっちあげ、しまいには人事部との嘘のメールのやり取りを捏造して父親に見せた。

ブラウン検事補によれば、父親から次第に家に金を入れるよう迫られたハルダーソン被告は、さらに嘘の上塗りをした。「架空の仕事から言い逃れる最善の方法は、さらに架空の仕事をでっちあげることです」とブラウン検事補。「被告は宇宙飛行士になろうとしたのです」。被告は家族と恋人にSpaceXへの就職内定を伝えた。被告は恋人と一緒にフロリダ州に移住する計画を立てた。

現職はおろか将来の仕事もなく、学位を取れる見込みもなく、フロリダに引っ越す金もない状態で、ハルダーソン被告はすっかり行き詰まった、とブラウン検事補は主張した。検察いわく、被告は頭部をケガしたと嘘をつき、階段から落ちてひどい脳震盪を起こした上(ブラウン検事補は、のちに医師が証言台でこの主張に反論すると述べた)、脊椎や神経の損傷で首にギブスを装着し、引っ越しできなくなったと語ったとみられる。

同じころ、ハルダーソン被告の父親バートさんはついにマディソン工科大学に電話をかけ、息子の成績証明書について尋ねたが、ハルダーソン被告がメールをやり取りしていたと思しき事務局の職員は1人も存在しないことが判明した。録音されたカスタマーサービスの通話記録には「なるほど、そうなんですね」というバートさんの声が残っている。ブラウン検事補によれば、バートさんのスケジュール帳には2021年7月1日にハルダーソン被告と工科大学に打ち合わせに行く予定が書かれていたが、検察はこの打ち合わせもでっち上げられたに違いないとみている。その日の午後、バートさんはハルダーソン被告に「お前の都合のいいタイミングでいつでも行けるよ」という携帯メールを送信した。これが最後に記録されたバートさんとの通信だった。

Translated by Akiko Kato

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