吉田豪が選ぶ2021年の年間ベストソング

吉田豪

Rolling Stone Japanでは昨年一昨年3年前に引き続き、プロインタビュアー・吉田豪氏に2021年のベストソングを挙げてもらった。

毎年、「ギャラ以上に手間がかかりすぎる」とボヤいてる気がするこの企画なんですが、なぜか今回は例年以上に時間がかかって選曲が全然終わらない! 着手してからすでに1週間以上経ってるけど、いい曲を10曲しか選べないってルールがそもそも間違ってるでしょ!……ということで編集サイドに何の連絡も入れないまま、あえてベスト20にしてみました(その結果、手間も倍に)。


1. 花譜×大森靖子「イマジナリーフレンド」

毎年のように大森さん関連楽曲が上位に食い込む、このランキング。2020年もボクがいちばん聴いたのは、大森さんによるバーチャル・シンガー花譜(世界が違うから全然知らなかったけど、現時点でTwitterのフォロワー数は18.4万人!)への提供曲でした。それを大森さんに伝えたら、ボクが行く予定だった大森さんソロツアーの最終日に練習して初披露してくれたりの展開にも発展。MVもよく出来てるんですけど、もしボクがキャスティングできるなら黒宮れい主演、雅雀り子ダンス担当にしてみたかった!



2. りあら「いちごタルトが食べたくて」

「showroomで人気を博すジュニアアイドルJC13歳。りあらのデビューシングル!」という帯文だけでは確実に一部の子供好き以外には引っ掛からなそうだけど、これが京都在住で民謡女子ハピネス組のメンバーでもある中学生が舌っ足らずな声で歌うフィリー・ソウルでビックリ。なんでこんなことになってるのかと思って楽曲担当のあちこさんのTwitterを見たら、プロフィールに「好きな音楽 モダンソウル、ノーザンソウル」と書いてあって納得しました。曲も声もすごい切ないのに歌詞が圧倒的にどうでもいいのも素晴らしい。



3. 折坂悠太「鶫」

なんで突然この曲を?……と、ボクがリリースタイミングではなくて年末になってTwitterに貼ったときにも聞かれたんですが、答えは簡単。カメラ163台、撮影403時間の密着によるドキュメンタリー『M-1グランプリ2021 アナザーストーリー』で、優勝した錦鯉が親に報告する場面で『ザ・ノンフィクション』での中孝介「サンサーラ」ばりに効果的に使われていたから。“あなたに知らせたい 共にいると”って歌詞が、もはやまさのりさんと渡辺さんの話にしか聞こえない!



4. 桐生ちあり「東京(2021 Remaster)」

永原真夏&工藤歩里(SEBASTIAN X)の楽曲を歌うSummer Rocketのメンバーとしてデビューし、卒業後はタカハシヒョウリ(オワリカラ)がサウンドプロデュースを担当するD’yerMak’er?(レッド・ツェッペリンの曲名が由来)のメンバーになり、そちらも脱退した桐生ちありソロ曲のリマスター版。自己肯定感が死ぬほど低くてグループではあまり前に出ようとしない人が、ソロになったことでとにかく歌が巧いし、声も魅力的なことが広く伝わるようになったと思います。MVも、Summer Rocketの同僚で、いまは映画の助監督をやっている東雲しなの(現・しののめしなの)が監督し、いまは女優をやっている愛わなびが主演したというのを踏まえて見ると歌の魅力も倍増するし、今度は肩の力を抜いてやっているre:miawとしての活動もいいしで、本人は「桐生ちありはオワコン」とか言ってるけど確実にこれからの人。



5. 長瀬五郎 feat. 畠山英莉「Still Be Shine」

最近弾き語りを始めたと思ったら、それがトッド・ラングレンとかフェアーグラウンド・アトラクションのカヴァーだったりで絶妙に中年を狙い撃ちにしてくる、彼女のサーブ&レシーブ改めカノサレのえりんこ=畠山英莉。その選曲をしている黒幕が元インスタントシトロンの長瀬五郎&松尾宗能。2人はカノサレに楽曲提供をしつつトワイライトセクション名義で彼女と一緒にライブもやっていて、インスタントシトロンのカヴァーもしているわけですよ。一応説明しておくと、インスタントシトロンの片岡知子さんは2020年に病気で亡くなって、長瀬五郎さんの実兄も同時期に亡くなって、自死遺族として長瀬さんはかなりのダメージを受けていたんですよね。それが2021年11月にカノサレ+トワイライトセクションとして20年ぶりの東京でライブをやって、それがまたとんでもなく良くて、会場も満員になって、長瀬さんが「楽しい!」「帰りたくない!」と連呼してて。そのとき会場限定で販売されたインスタントシトロンのカヴァーCD-Rも良すぎたから、配信なり通販なりで買えるようになればいいのになーと思ってます。


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