西岡恭蔵の軌跡、『プカプカ 西岡恭蔵伝』著者・中部博とたどる

西岡恭蔵(photo by 北畠健三)



街の君 / 西岡恭蔵

田家:西岡恭蔵さんのソロのファーストアルバム『ディランにて』から「街の君」。

中部:西岡さんの古くからのファンで、この歌が好きだって人がすごく多いんですよ。当時の西岡さんの人気というか歌の本質は、こういうふうに多くの人を惹きつけたんじゃないかと思う歌ですね。

田家:ソロのファーストアルバムはベルウッド・レコードの三浦光紀さんが声をかけられたところで始まった。

中部:三浦さんが西岡さんの噂を聞きつけていて、ザ・ディランIIの録音をやってるところに行って、西岡恭蔵さんにベルウッドで出さないかって声をかけて。その時は忙しくてそんなこと考えられないっておっしゃったらしいですけど、その後すぐに三浦さんへ連絡があって、やりたいということで、このアルバムができるんですけど、ものすごく当時のボブ・ディランに影響されているシンプルな作り方ですよね。

田家:ザ・ディランIIの「きのうの思い出に別れを告げるんだもの」は、恭蔵さんはディレクター兼アレンジャーだったんですね。

中部:そうなんです。途中でディレクターの人が怒って帰っちゃったとか、いろんなことがあったらしくて、アレンジもちゃんとできてなくて、中川イサトさんが少しやったらしいんですけど、残ったものを全部恭蔵さんがまとめたという。並々ならぬサウンドクリエイターの実力はあるんですよね。だって、やったことない仕事をそこでやったわけですから。

田家:初めてのディレクターみたいなものでしょうからね。

中部:それから編曲もスタジオアレンジというかヘッドアレンジって言うんですか。ああいうことだったかもしれないけれど、少なくとも一つの曲を作り上げて、それをどういう順番で並べて、っていうことを作り上げたわけですかね。

田家:これも当時気がつかなかったんですけど、アルバムのクレジットに大塚まさじ、永井ようっていうザ・ディランIIのメンバーと西岡恭蔵、3人になっている。

中部:僕は遠くで聴いているファンですから当時の事情は知りませんから、ザ・ディランIIって2人組なのに、3人目に西岡恭蔵って書いてあるんですよ。それは彼らにとっては当たり前の話なんですね。でも、よく知らない人は、なんだろうこれっていう疑問になってましたね。

田家:そういうことが本の中で明らかになったりしているわけですが、三浦さんに声をかけられて、恭蔵さんは東京に来て半年間三浦さんの部屋に居候していたそうで(笑)。

中部:そう(笑)。西岡さんはご自身で風来坊生活って言ったけど、要するに現住所を持たずに、友達のところを転々として。大阪でも友達のところを転々としてるんですよ。居候させやすい人なんでしょうね、真面目な人だから。大阪は、村上律さんのところで、東京では及川恒平さんのところにも居候してたらしいですよ。

田家:立派な生家があるのにそこを出てきちゃったわけですからね。やはりアルバム「ディランにて」から「サーカスにはピエロが」。

Rolling Stone Japan 編集部

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