西岡恭蔵の軌跡、『プカプカ 西岡恭蔵伝』著者・中部博とたどる

西岡恭蔵(photo by 北畠健三)



サーカスにはピエロが / 西岡恭蔵

中部:これは、女の子に振られた男の子の恋の傷跡に塗り込む薬のような歌だと思うんですよ。当時、女の子に振られた男の子はみんなこれを聞いて涙しながら頑張るぞって、やさしい男になるぞと思って聞いていたんだと思うんだけど。その意味で西岡さんって失恋のマイスターみたいなところがあって、振られた男の歌ってうまいですよね。

田家:確かにね。アルバムの『ディランにて』の中でこの曲の位置、意味はどんなものだと思います?

中部:これは、もう終わったということだと思うんですね。つまり青春が一つ終わって、次の段階に自分が行くぞっていうことだと思うんだけど、そのメッセージがちょっとまだ伝わりきれてなかったんで、次のアルバムを聞いたときに、あまにりも明るいので、みんな騒然、びっくりするわけですよ。だからそこのところ新しい2枚目聞いて今度1枚目を聞くと、やっぱりちゃんと予告はなされているんだと思えるという。

田家:『街行き村行き』を聞いたときにね。

中部:自分が恋で悩んだり、いろいろ青春で風来坊になってフラフラしてたけど、自分のやりたいことはこういうことなんだって決着をつけるためにファーストアルバムを出したって感じがわかるんで、そう言う意味で非常に考えてものを作っていく人ですよね。

田家:やっぱりザ・ディランIIの『きのうの思い出に別れをつげるんだもの』と、この『ディランにて』が一つになっている。

中部:そうですね。一つになっていてスタートラインを切ったときと総括っていうんですかね。まとめて次の段階に行くっていうことかな。それをちゃんとやってきている。段階的成長みたいなことを西岡さんはちゃんとやるんですよね。

田家:さっき話に出た三浦光紀さんの部屋、恭蔵さんが居候しているその部屋にですね、1人の少女が訪ねてくるんですね。KUROさん。

中部:KUROさんなんです。これは結婚をする相手なんですけど、恭蔵さんが相当惚れられてたってことですね。KUROさんは大阪から訪ねてきますから。大阪で村上律さんの部屋に転がり込んでるときに、同じアパートにKUROさんも住んでるんです。そこはみんな仲間ですから、そこで知り合ったみたいなんですね。で、KUROさんが恭蔵さんのことを好きになる。

田家:恭蔵さんの伝記ではあるんですが、KUROさんとの愛情物語みたいな本でもあるなと思いましたよ。

中部:僕もちょっと意外だったんだけど、そこに行き着いていくんですね。KUROさんとの愛のことっていうのは、本当に Love and Peace だね。Love and Peace ってどこか恥ずかしくてちょっと言いづらくて照れちゃうんですけどね。恭蔵さんは自分ではLove and Peaceって真正面からおっしゃってないけど、まさにそういう人だった。

田家:来週からそんな話が続いていきます。よろしくお願いします。

Rolling Stone Japan 編集部

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