西岡恭蔵と細野晴臣の関係性、ノンフィクション作家・中部博とたどる

春一番 / 西岡恭蔵

田家:ベースが細野晴臣さん、ギターが鈴木茂さん、ドラムがかしぶち哲郎さん、バイオリンが武川雅寛さん。はっぴいえんどとはちみつぱいが一緒になっているみたいなメンツですね。

中部:レジェンドだらけって感じですよね(笑)。

田家:この曲を選んでいるのは?

中部:関西の人たちにとって春一(ハルイチ)と言ったら、自分たちの音楽の歴史伝統でしょうから。

田家:1971年。

中部:福岡風太さんという人が主宰者として有名なんですけども、西岡さんたちもスタッフなんですよね。その途中にこの歌を村上律さんと一緒に作ってテーマソングにしようとなったらしい曲ですね。

田家:〈ヤスガーズ・ファーム〉という歌詞が出てきますもんね。

中部:ウッドストックに憧れているんですよね。

田家:中部さんがお書きになった『プカプカ 西岡恭蔵伝』は人間・西岡恭蔵のリアルな生涯の本でもありますけど、当時の関西音楽シーンの人間関係をとても分かりやすく読ませてくれた本でもあったんです。今お名前が出た福岡風太さんとか、もう1人阿部登さんという方。お名前は聞いたことあるんだけども、ここまで知らなかったなということがたくさん書かれていて。阿部登さんはこの後の西岡さんのアルバムでもとても重要な人物になってくる方でしょ?

中部:そうですね。いわゆる原盤、最初の音楽を作るプロデューサーになっていって、恭蔵さんの一時期のすごい理解者ですよね。阿部登さんも大変不思議な人だったみたいですね。やりたいことはどんどんやっていっちゃうし、バイタリティに溢れている。関西の人はバイタリティに溢れている人、特に大阪に多いと思いました。追っかけていて。

田家:東京の人間が追っかけていて(笑)。

中部:すごいなっていう人が(笑)。やりたいからやるという感じがものすごく強い人たちですよね。それからカッコつけない。1人の人間として勝負していく感じがしましたね。

田家:恭蔵は「春一番」を自分の音楽のふるさとのように愛し続けたと中部さんはお書きになっています。中部さんが選ばれた今日の3曲目、1975年7月発売、ソロ3枚目のアルバム『ろっかばいまいべいびい』のタイトル曲「ろっかばいまいべいびい」。

Rolling Stone Japan 編集部

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