西岡恭蔵と細野晴臣の関係性、ノンフィクション作家・中部博とたどる

田家:「J-POP LEGEND FORUM 西岡恭蔵」。今年がソロデビュー50周年、西岡恭蔵さんの軌跡を小学館から発売になった本『プカプカ 西岡恭蔵伝』の著者、ノンフィクション作家・中部博さんをゲストにたどっております。今週は2週目です。流れているのはこの番組の後テーマ、竹内まりやさんの「静かな伝説」です。



再発見シリーズというのは、便宜的につけたサブタイトルではあるんですけど、西岡恭蔵さんは新発見に近いことがたくさんあるんだろうなとあらためて思いながらお送りしております。今まで語られていなかったこと、みんなが想像していなかったこと、それがいろいろな形で明らかになってきているんじゃないでしょうか。例えば、西岡恭蔵さんと細野晴臣さん、2人がこんなふうに親しくて同じようなところに立っていて、同じような音楽観で同じような人生観、ロマンを持っていた2人なんだというのはあまり語られていないような気がします。カテゴライズの弊害でしょうけど、関東と関西は折りに触れ、別なものだった。対立していたかのような書き方。これは人のことを言えないところもあるんですけど、はっぴいえんどは東京のバンドで、ファニー・カンパニーが関西にいてみたいな。でも、実は同じところで繋がっていたんだというのが西岡恭蔵さんと細野晴臣さんの中にも象徴的にあるのではないかと思います。2人を結びつけていたのはエキゾチズムだった。

細野さんの70年代の功績に1975年6月の『トロピカル・ダンディー』、1976年7月の『泰安洋行』、それまでのアメリカ一辺倒、イギリス一辺倒だった日本のポップスの中にアジアとか、中南米とか第三世界的なものを持ち込んだ。そこのロマンチシズムをアルバムにした名作として語られているわけですが、恭蔵さんの『街行き村行き』が1974年1月、『ろっかばいまいべいびい』が1975年7月、ちょっと早いんですよね。で、細野さんのエキゾチズム路線とやっぱり重なり合っている。2人ともおじいさまが外国航路をしていた。恭蔵さんの70年代のアルバムは、細野さんの歴史の中でもとても重要な作品なのではないかと思うと、西岡恭蔵さん、再評価の価値あり、あらためて見直すべきとても大きな根拠になるのではないかと思いながら今週を締めくくろうと思います。来週はさらに夢のある話が待っております。


書籍『プカプカ 西岡恭蔵伝』表紙



<INFORMATION>


田家秀樹
1946年、千葉県船橋市生まれ。中央大法学部政治学科卒。1969年、タウン誌のはしりとなった「新宿プレイマップ」創刊編集者を皮切りに、「セイ!ヤング」などの放送作家、若者雑誌編集長を経て音楽評論家、ノンフィクション作家、放送作家、音楽番組パーソリナリテイとして活躍中。
https://takehideki.jimdo.com
https://takehideki.exblog.jp

「J-POP LEGEND FORUM」
月 21:00-22:00
音楽評論家・田家秀樹が日本の音楽の礎となったアーティストに毎月1組ずつスポットを当て、本人や当時の関係者から深く掘り下げた話を引き出す1時間。
https://cocolo.jp/service/homepage/index/1210

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Rolling Stone Japan 編集部

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