KOZZY IWAKAWAが2枚組37曲のカバーで新世代に伝える、“音楽世界旅行”の楽しみ方

―この2年間、KOZZYさんは配信ライブやAKIRA with THE ROCKSVILLEの1st アルバム『L.U.V』への参加・プロデュースなどの制作を行いつつ、Instagramでは常にユーモアを交えたメッセージを発信していました。多くのファンがそうした活動に励まされていたとは思うのですが、これだけライブツアーができない状況の中、KOZZYさんご自身はどんな心境で過ごしてきたのでしょうか。

ライブができないことに関しては、やっぱり自分は人前に出て盛り上げたりするのが好きなんだなということを再認識しましたし、みんなが待ってくれているのにライブができないのはもどかしかったです。そういう人たちに何かしらの形で返していくために、制作に没頭しながら過ごしてきました。普段はツアーがあってできないことなんかを上手く進められたし、逆に忙しくなっちゃったというか(笑)。そういった意味では充実した日々でしたね。

―現在も配信ライブをやっていますが、ひと言で配信といっても、やはり音へのこだわりがありますよね。そこはどう考えてやっているのでしょうか。

こういう状況になってすぐにマックショウで配信ライブをやったんですけど(2022年7月4日(土)東京・南青山Mandala)、そのときにいつもやっているライブを配信で伝えるのはむずかしいなと感じたんですよね。なので、違う方法を1年近くかけて模索してきました。大多数の人がイヤホンやヘッドホンで集中して聴いていることが想像できたので、僕がこだわって作っている音源に近い音質でのライブ感、ハプニングやアクシデントも含めたその場のライブ感を作り出せないかなということで、機材も吟味して、レコーディング機材をそのまま使って配信することにしたんです。みなさんが聴くCDにするまでに行う作業がいくつかあるんですけど、そこを通らずに直接つなげた音を配信しているので、ある意味マスターテープよりも新鮮な生音を届けられていると思います。その結果、観てくれた人たちからは「音がすごくよかった」とか「感動した」という声をもらいましたけど、それは「同時性」というか、リアルタイムの配信ライブで観たからだと思うんですよ。だから、僕はしつこいぐらいに、7時スタートなら7時から聴いてくれって言い続けているんです。所詮ライブ映像を流したところで目の前で演奏して歌っているわけじゃないから、それをライブと同じに考えちゃいけないと思って、別のものとして毎回趣向を凝らしてやっています。



―そうした考えから続けられている〈ROCKSVILLE STUDIO LIVE〉と同様に、今回のアルバムでも「音楽世界旅行」を謳っていますよね。それはKOZZYさんの中でどんなイメージなんですか?

僕が小さい頃、地元から田舎に引越して、友だちもいないし、両親も共働きで、ずっと1人でやることもなくて、ものすごく時間が余っていたので、家にあったレコードを擦り切れるぐらい聴いていたんです。イギリスの音楽とか、兄貴がブラックミュージックにハマっていたこともあって、生意気にもライトニン・ホプキンスを聴いたりとか。そういうレコードを聴きながら「メンフィスってどこだろう?」って考えたりしていたんです。「Route 66」を聴きながら、部屋に貼った手描きのアメリカの地図でルートを辿って行ったり。音楽を聴きながらどこかへ連れて行かれちゃうような、そういう楽しみ方の提案になればいいなっていうイメージですね。

Rolling Stone Japan 編集部

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