KOZZY IWAKAWAが2枚組37曲のカバーで新世代に伝える、“音楽世界旅行”の楽しみ方

―ルーツを遡って音楽の旅をしていくと、そこに辿り着くわけですね。では、いくつか曲をピックアップしてお伺いしますが、DISC 1の1曲目はローリング・ストーンズもライブでカバーしていた「FANNIE MAE」ですね。

ストーンズのカバーもあるんですけど、僕の中で「FANNIE MAE」は、ウルフマン・ジャックがDJで曲紹介して始まる、原曲のバスター・ブラウンのバージョンなんです。映画『アメリカン・グラフィティ』のイメージで、ラジオをチューニングしていたら、たまたま「FANNIE MAE」が流れたという体で1曲目にしました。バディ・ホリー&ザ・クリケッツの「THAT’LL BE THE DAY」と、どちらにしようか迷ったんだけど。

―「THAT’LL BE THE DAY」はカバーの定番な気がしますけれども。

いや、それはたぶん、『アメリカン・グラフィティ』の中に出てくるから有名なだけで、意外とマニアックな曲だと思いますよ。売れたのは「ペギー・スー」とかだと思うから。僕はそういう「曲の意図とは別に何かくっついてきちゃった」みたいなことが好きなんですよ。バディ・ホリーが一生懸命歌ってるのに『アメリカン・グラフィティ』のシーンばっかり思い出しちゃうみたいな(笑)。マックショウのライブでも、「なんでここで泣いてるの!?」っていうファンの人がいるんですけど、たぶんあれは自分の思い出があるんでしょうね。そこに関しては有名曲とかマニアックな曲とかっていう境はあんまりないと思いますけど、僕の場合だと、映画とか実体験の思い出がくっついている曲が多いかもしれないです。

―先ほど話に出たハウリン・ウルフの「LITTLE RED ROOSTER」も入っていますね。子どもの頃に「怖い」と思っていた曲を歌う上でどんなことを考えましたか。

「LITTLE RED ROOSTER」は、ブルース、ロックを聴いている人にはストーンズのバージョンとかで聴いたこともあると思うんですけど、初めて聴くと「なんだこの曲!?」っていう世界観がありますよね。それもあって、左のチャンネルから右のチャンネルにギターがエコーで返ってくるような、山の上で演奏してこだまが返ってくるとか、暗い洞窟で演奏しているようなイメージで作りました。



―「IF I DIDN’T LOVE YOU」はリル・グリーンという女性ブルースシンガーがオリジナルで、憂歌団がカバーしています。これはどうやって知った曲なんですか。

憂歌団のライブ盤『Blues Is A-live』に、今回取り上げている「MUDDY JUMPS ONE」(マディ・ウォーターズ)と「IF I DIDN’T LOVE YOU」が1、2曲目に続けて入っているんです。このライブ盤を兄貴が好きで、もう死ぬほどレコードを聴かされたんですよ(笑)。だからすぐにギターも弾けたし、「IF I DIDN’T LOVE YOU」は歌詞も見ないで歌えました。それを思い出したのが、以前に金沢のライブハウスに出たときなんです。楽屋がある雑居ビルの中にブルースバーがあって、そこに置いてあったラジカセから元曲のリル・グリーンの「IF I DIDN’T LOVE YOU」が延々流れてたんですよ。それを聴いたときに「あ、この曲知ってる!」って思い出したんです。だから、音楽旅行で言えばこの曲はアメリカじゃなくて北陸の裏路地です(笑)。

Rolling Stone Japan 編集部

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