セレブが熱狂する「類人猿」をデザインした女性

NFTの世界では「狂気」が歓迎される

ごく最近になって、Senecaはようやく「そうした狂気の部分」を受け入れるようになった――自分の中の「超常的で、訳の分からないダークなアート」を美しいものに昇華する作業に、彼女は癒しを見出している。「だからこの仕事をしているのよ」と彼女は言って、今までは「頭がおかしい」と思われるのが怖くて大勢には明かしていない、と打ち明けた。

彼女にとっては幸いなことに、Web3.0では狂気あるいは狂気のようなものは歓迎される。当たり前からの逸脱欲求がなければ、暗号資産は存在し得ない。この分野がこれから先もずっと繁栄してほしい、と彼女は期待を寄せる。Bored Ape Yacht Clubでの経験から「たくさんの人生教訓を学んだ」という彼女は、NFTや小口契約を理解し、ロイヤリティを要求し、可能性を知ってほしい、と若手クリエイターたちに訴える。「信念を強く持って、一生懸命努力すること」と本人。「それからじっと耐えること。自分に優しくすること。暗号資産やTwitterでは物事がとても早く進むの。ちゃんと目を開けて、でも余計なことは気にせず、自分の進む道に集中している限り、結果的には大丈夫よ」

もちろん「大丈夫」と言っても相対的なものだ。具体的な額面を口にすることはできないが、彼女のギャラは「決して理想的とは言えなかった」そうだ。それでも経験を積み、もはやなくては生きていけない領域に足を踏み出せたことには感謝していると言う。あれ以来、彼女はNFTという概念にすっかり夢中だ。アートの真正性を裏付け、それを維持し、クリエイターにはロイヤリティをもたらす。なおかつアート界はより包括化して、ギャラリー制度にとらわれることも少なくなるのだから。

彼女の考えでは、次回作のシリーズは――デジタル作品だが他の手法も織り交ぜるらしい――これまで築いたシューレアリズムの基盤をさらに押し広げつつ、より大胆なものになるようだ。本人は制作中の作品について固く口を閉ざすものの、メンタルヘルスや強い女性の力に焦点を置いてみた、と付け加えた。新作には「少々批判」も盛り込まれるかもしれない。

「この世界についてはとても楽観的よ」と本人。「この世界を原動力にしていくわ」

from Rolling Stone US

Translated by Akiko Kato

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