ロードとデイヴィッド・バーンが語る、表現者としての葛藤とソングライティングの秘密

ロード&デイヴィッド・バーン(Photo by Shaniqwa Jarvis for Rolling Stone)

米ローリングストーン誌の人気企画「Musicians on Musicians」で、ロード(Lorde)とデイヴィッド・バーン(David Byrne)の対談が実現。世代を超えて尊敬し合う2人が語る、あがり症の克服、インスピレーションの大切さ、そしてソングライティングの秘密。

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ロードとデイヴィッド・バーンが意気投合するのに、時間はかからなかった。風の強い日曜の午後、24歳のポップスターと69歳の大御所は、ブルックリンのグリーンポイントにある写真スタジオの屋上で撮影に臨んでいた。スタイリッシュだが控えめな全身黒のコーディネートという点は両者に共通しており、バーンはエルメスのタートルネックを、ロードはセミフォーマルなオーバーサイズ気味のサンローランのスーツを着用している。2人とも靴は履いていない。並んで立った2人は最初こそ真剣な表情を浮かべていたが、そばにあったブームボックスからレゲエが流れてくると、バーンはゆっくりと体を動かし始めた。やがて2人はポーズをとったり笑ったりするようになり、徐々にリラックスしていくのが見てとれた。

「夢が叶った気分!」。インタビューが行われる階下に向かいながら、ロードはそう言った。ニュージーランドで過ごした幼少期の頃からバーンの音楽が大好きだったという彼女が手にしているスマートフォンの画面には、彼に聞きたいことがびっしりと記されている。無名だった彼女を一躍スターの座に押し上げた2013年作「Royals」における並外れたオリジナリティは、南極大陸を訪れた時に感じた圧倒的な自然の力に感化されて生まれた4年ぶりのアルバム『Solar Power』でも健在であり、彼女は自身の感性の形成に大きく影響したヒーローとの対談を心待ちにしていた。


Photograph by Shaniqwa Jarvis for Rolling Stone. Fashion director and styling on David Byrne: Alex Badia. Market editor: Luis Campuzano. Sittings editor: Thomas Waller. Set design by Gozde Eker. Lorde: Styled by Karla Welch for the Wall Group. Hair styled by Cameron Rains for Forward Artists. Makeup by Amber Dreadon for Cloutier Remix. Jacket and pants by Saint Laurent. Earrings by Mejuri. Byrne: Styled by Stephanie Tricola for Honey Artists. Grooming by Todd Harris. Suit by Hermes. Sweater by Boglioli. Tailoring by Marius Ahiale for Lars Nord Studio. Sittings Editor: Thomas Waller

バーンも最近、自身の過去を度々振り返っている。トーキング・ヘッズのアルバムを含む自身の全作品をベースにしたミュージカル『アメリカン・ユートピア』のブロードウェイ公演は、パンデミックの影響で長く中断されてしまっていたが(その間にスパイク・リーと映画を制作している)、昨秋にようやく再開した。彼もまた、ロードと話すのを楽しみにしていたという。マンハッタンの自宅から取材現場まで、クールなブルーグレーのeバイク(と同系色のヘルメット)でやって来た彼は、しわくちゃになったeメールのプリントアウトと何かを書き記したリーガルパッドを手にしたまま、フレンドリーな様子で各現場スタッフに自己紹介をしていた。

「あなたに会えるのをすごく楽しみにしていました」。席につくやいなや、彼女はそう言った。「聞きたいことが多すぎて、どこから始めたらいいのかわからないくらい」。バーンは穏やかな笑顔を浮かべてこう返した。「そうなんだね、どうもありがとう」。こうして2人の対談は始まった。

Translated by Masaaki Yoshida

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