ギターソロ完コピをめぐる複雑グルーヴ、イーグルスの王道曲から鳥居真道が徹底考察

「弾いてみた動画を撮ってみたの図」

ファンクやソウルのリズムを取り入れたビートに、等身大で耳に引っかかる歌詞を載せて歌う4人組ロックバンド、トリプルファイヤーの音楽ブレインであるギタリスト・鳥居真道による連載「モヤモヤリズム考 − パンツの中の蟻を探して」。第32回はイーグルスの「ホテル・カリフォルニア」など王道曲のギターソロを細かくコピーすることで体感する、楽曲の複雑なグルーヴを考察する。

最近ギターを弾くことにはまっています。本当に楽しくて仕方がない。一度触り出すと止まらず、他のことが手につかなくなってしまいました。こんなことは中学生以来かもしれません。ギターを弾いていると秒で時間が過ぎていきます。日常生活にも支障をきたしており、このところは寝不足になっています。この原稿の提出も遅れてしまいました。

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ギターを持って何をしているのかといえば、もっぱら往年のギターソロをコピーしています。たとえば、クリームの「クロスロード」(エリック・クラプトン!)やレッド・ツェッペリンの「天国への階段」(ジミー・ペイジ!)、スティーリー・ダンの「滅びゆく英雄」(ラリー・カールトン!)、クイーンの「ボヘミアン・ラプソディ」(ブライアン・メイ!)、イーグルスの「ホテル・カリフォルニア」(ドン・フェルダーとジョー・ウォルシュ!)といった名ソロです。「オールタイム・ベスト・ギターソロ」のような企画で必ずトップテンに入るようなベタ中のベタなものを選んで弾いています。



10代後半から30歳を過ぎた頃まで、こうしたベタなものを意識して忌避するところがありました。というのも世界の広さを知りたいという気持ちがあったからです。ベタなものとは、いうなればフライドポテトのようなものです。あまりに美味しいものだから、そればかり食べたくなってしまいます。毎日でも食べたい。一生食べていたい。しかし、世界には桃のビシソワーズやヤギのミルクで作ったチーズ、キッシュなど様々な食べ物が無限に存在します。そういうものにも積極的にチャレンジしていきたい。こうした思いからベタなものに対して禁欲的になっていたところがありました。

Rolling Stone Japan 編集部

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