ギターソロ完コピをめぐる複雑グルーヴ、イーグルスの王道曲から鳥居真道が徹底考察

先に挙げたようなソロは、やはり長年の風雪に耐えてきた名ソロなだけあって、どれも弾いていると非常に気持ちが良いです。難しくて弾けなかった箇所が練習を重ねるうちにだんだんと弾けるようになるのもかなり嬉しい。脳内が幸せホルモン的な何かで満たされるのが実感できます。

休息のためにリラックスしようと思ってぼんやり過ごしていると様々な想念、感情、記憶が去来して、却って頭が休まらないことが多いのですが、ギターを弾いていると身体的な感覚に集中できるためか頭が休まるような気もします。とはいえ、寝不足になっているので元の木阿弥なのですが……。

しかし、どうしてこんなに楽しいのだろうか。ギターソロのコピーには文字通り模写の快感があるように感じます。ユーチューバーやティックトッカーがK-POPのグループの振り付けをコピーして踊ってみせる動画をよく上げていますが、あれも模写の快感のひとつだといえるでしょう。ギターは振り付けのコピーと違って音源の上から自分の演奏を重ねられるところが良いですね。そういう意味では絵のトレースに近いのかもしれません。



最近コピーしたギターソロのなかでもとりわけ演奏していて楽しいのはイーグルスの「ホテル・カリフォルニア」です。ドン・フェルダーとジョー・ウォルシュの掛け合いおよびハモリが楽しいギターソロです。色々なタイプのチョーキングが頻出するのも弾いていて気持ちが良いポイントのひとつです。

「ホテル・カリフォルニア」のギターソロをコピーした際、私は次のような手順を踏みました。まずYouTubeを開いてやさしく解説してくれていそうなチュートリアル動画を見つけます。それを参考にしながら一通り弾いてみます。当然、ぱっと弾ける箇所とまったく歯が立たない箇所があります。これらをふるいに分けたのち、弾けない部分は一音一音ゆっくり確認しながら指と耳に馴染ませます。音型と指の動きが把握できたらスムーズに弾けるようになるまで繰り返し練習します。ここは気合でなんとかするしかありません。

私はこうしたプロセスをオープンワールドのゲームでマップを広げていくようなイメージで捉えています。モヤがかかった土地をなくしていく感じですね。他方、すでに弾ける箇所はファストトラベルで移動できる地点という感じ。この箇所を基点にして弾ける箇所を拡大していくわけです。

Rolling Stone Japan 編集部

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