新進気鋭の若手俳優・須藤蓮が語る、「魂」を注ぎ込んだ初監督・主演作品への思い

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例えば音楽の入るタイミングや、セミの泣き声のボリュームひとつで作品の印象はガラッと変わってしまう。録音と整音はプロに任せたが、音のデータの“つなぎ”は自分で行った。「音でこんなに楽しめるのが、自分にとって一番意外でした」と、楽しそうに振り返る。

「僕、村上春樹の小説がすごく好きなんですけど、それは音楽的だからなんですよね。文体の心地よさで、スッと読めてしまうというか。そういうところを『逆光』でも目指しています。それから三島由紀夫の小説も。脚本自体はものすごくシンプルで質素だけど、それを映像や衣装などできらびやかに装飾していくことで、三島由紀夫が小説でやろうとしていたことに近づけないかなという思いもありました。『作品における社会的意義』とか、そういうのはバカなのでよく分かんないんですけど(笑)、『このショットがあるだけで、この映画はOK』と思わせるような、そういう瞬間を捉えたいと思いながらずっと撮っていましたね。普段、映画を観る習慣のない人がたまたまこの映画を観て、『ストーリーとかよく分からないけど、なんとなく心地良くて最後まで観ちゃった』みたいなことが起きたら最高にうれしいです。あとは、今回グッズとかにめちゃくちゃ力を入れたんですよ。映画業界が今、手を抜いているところにマジで魂を注ぎ込んだらどうなるか、とことん挑戦しています(笑)」



そう言いながら、ハイライトに火をつけた須藤。『逆光』にもタバコを吸うシーンが頻繁に出てくるが、それもある意味では挑戦的だ。

「例えばドラマの撮影でも、『あってもなくてもいいなら、なくていい』みたいな感じでなかなか吸わせてもらえなくて。吸っていてもおかしくない登場人物でも、吸わない選択肢を取ってしまうことには喫煙者として違和感がありますね。僕が好きな映画には、めっちゃ喫煙シーンがあるんです。それこそ『花様年華』のトニー・レオンとか、最初から最後までタバコ吸ってるし(笑)。そういう映像に憧れているから、『逆光』でも、つい先日ようやく撮影が終わった『blue rondo』(須藤の監督2作目)でもひたすらタバコを吸っています。煙の演出も、それで表情を隠したり、逆に美しくしたり、いろいろなことができるじゃないですか。映画の中でのタバコの見せ方は、これからも工夫しながら映画の中で撮り続けていきたい……そう、まだまだ監督は続けるつもりですよ!」

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須藤蓮
東京都出身。慶應義塾大学在学中。スターダストプロモーション制作1部所属。「第31回 MEN’S NON-NO 専属モデルオーディション」ファイナリスト。2017年秋より俳優として活動を開始し、京都発地域ドラマ『ワンダーウォール』に主要キャストの1人として出演。東海テレビ・フジテレビ系全国ネット「おいハンサム‼」(2022年1月8日スタート)出演予定。


©2021『逆光』FILM

『逆光』
渋谷ユーロスペース公開中、
2022年新春アップリンク吉祥寺他全国順次公開
制作・配給:FOL
出演:須藤蓮 中崎敏 富山えり子 木越明
脚本:渡辺あや
監督:須藤蓮

Photo = Mitsuru Nishimura  Styling = Tatsunoshin Takahashi (Foyer, FOL)

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