山崎まさよしが語る、DIYライフと「等身大の思い」を綴ったプライベートアルバム

Rolling Stone Japan vol.14掲載/Coffee & Cigarettes 32| 山崎まさよし(Photo = Kentaro Kambe)

音楽、文芸、映画。長年にわたって芸術の分野で表現し続ける者たち。本業も趣味も自分流のスタイルで楽しむ、そんな彼らの「大人のこだわり」にフォーカスしたRolling Stone Japanの連載。コロナ禍でも歩みを止めず、活動のフィールドを広げていく山崎まさよし。昨年2年ぶりのフルアルバム『STEREO 3』を発表。デビュー25周年イヤーを締めくくる作品の制作舞台裏だけでなく、近年TV番組などでも注目されているDIYのこだわりについても語ってくれた。 

Coffee & Cigarettes 32 | 山崎まさよし
※Rolling Stone Japan vol.16 2021年9月25日発売号掲載

2020年9月25日にデビュー25周年を迎えたシンガーソングライターの山崎まさよしが、昨年アニバーサリーイヤーの締めくくりとなる2年ぶりのオリジナルアルバム『STEREO 3』をリリースした。本作は、彼のファンにとってはお馴染みである「プライベート・アルバム」として位置づけられる『STEREO』シリーズの第3弾。ここでいうプライベート・アルバムとは、作詞作曲はもちろん、楽器演奏、ヴォーカルそしてコーラスまで全てを山崎一人でこなしたプライベート色の強い作品のことを指す。そんな「一人多重録音アルバム」は、実は『STEREO』シリーズ以外にも存在するが、公式のディスコグラフィーでも他のオリジナルアルバムとはジャンル分けされることが多い本シリーズは、山崎にとって特別な意味を持つ作品ということになるのだろう。

「自分以外の『他者』と関わりながら作る作品は、様々な人の意見が反映されるから広がりが出るんですよね。でも『STEREO』シリーズのように一人で作る作品の場合は、全て一人でジャッジしなければならない。『この曲はちゃんと人に響くのか?』とか、客観的には分かりにくいじゃないですか。そこがいちばんの違いかもしれないです」

確かに、そういう意味では「独りよがり」になりやすい。そのぶん山崎にしか出せないドラムのグルーヴやベースのタイム感、ギターの手ぐせなどが積み重なった、非常に密度の濃い“山崎まさよしサウンド”になっているのも事実だ。くしくも山崎がリスペクトしてやまないあのポール・マッカートニーも、昨年コロナ禍で「一人多重録音アルバム」となる「マッカートニー」シリーズの第3弾『マッカートニーIII』をリリースした。その話を向けたところ、「気づかなかったけど、言われてみれば確かに一緒ですね!」と目を少年のように輝かせていた。ちなみに『STEREO 3』の制作場所は、山崎が今からおよそ3年前に作った自宅のプライベートスタジオ。趣味のDIYが高じ、至るところに手作りの棚や収納ラックが置かれた「秘密基地」のようなその場所は、彼が童心に戻れる大切な聖域なのだ。

「海外のプライベートスタジオなどへ遊びに行くと、例えば反射板や吸音材などは大抵ハンドメイドなんですよね。『ちょっとスタジオの響きを変えたいな』と思ったら、余った板材で吸音材などをパパッと作って壁に打ちつける。そういう、自由でフレキシブルな環境に憧れていたんです。DIYの楽しさは、その構造まで理解できるところにもある。最近、スマホ用のウッドスピーカーを自作してみたんですけど、ウーハーやコーンがどうなっているのかなどよく分かったし、そうするとメンテナンスも自分でできるようになる。このご時世、なるべく自分のことは自分でできるようにしておくと、何かと便利でもあるんです」

Photo = Kentaro Kambe  Styling = Madoka Miyazaki  Hair and Make-up = Tetsuro Shima (juice)

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