山崎まさよしが語る、DIYライフと「等身大の思い」を綴ったプライベートアルバム

そう言って笑いながらタバコに火をつける。朝起きると豆を挽いてコーヒーを作り、それを飲みながら一服するのが山崎にとって至福のひと時だという。

「タバコは大好きですね。曲作りの時とか、注意力が散漫になってきた時に吸うと、集中力がぎゅーっと研ぎ澄まされる気がする。それに、誰かと一緒にタバコを吸っていると、コミュニケーションがいつもよりも円滑に進む気がするし便利なツールです(笑)。ただ、喫煙室のような狭いところで吸うのはあまり好きじゃないかな。どちらかというと緑に囲まれた、自然の中でのびのび吸いたいですね」

デビューから四半世紀経った今もなお、飾らず等身大の魅力を放ち続ける山崎。ファッションも基本はアメカジで、ファッションブランド「TMT」のTシャツを好んで着用している。『STEREO 3』の完全生産限定盤には、山崎をデフォルメしたプラモデルが付属されているが、そのプラモデルが着ているTシャツも「TMT」とのコラボレーションだ。



「昔はスカジャンとかよく着ていたんですけど、最近はちょっと勇気が要るかな(笑)。チノパンやジャケットなどミリタリー系のアイテムは今でもお気に入りですね」

さて、冒頭で述べたようにコロナ禍で制作されたプライベートアルバム『STEREO 3』には、ステイホーム期間中に山崎が考えていたことをテーマにした楽曲が並んでいる。例えば「霧雨」には、“狼狽ながら 俯きながら 僕らはきっと 前に進んでるはず”というラインがあるが、まるで先の見えない未来に向かって手探りで進む私たちの心境を綴っているかのようだ。また、“正しいことが何なのか分かんないけど 立ち止まることだけは気が進まない”と綴った「サイドストーリー」も、様々な「正義」がぶつかり合い、対立と分断が繰り返されるコロナ禍で戸惑う私たちへのエールとして響く。

「そうはいっても、こんな未曾有の事態でなかなか前に進んでいるような気持ちにはなれないですよね、それは僕も同じです。ただ、これまでも先人たちは様々な感染症や疫病などを克服し、この世界を築き上げてきたわけじゃないですか。僕らミュージシャンは、医療従事者のように人の命を救うことはできないですけど、音楽の力で『免疫力』を上げることくらいだったらできるかもしれない。僕が作る音楽や、ライブで歌う姿を楽しみにしてくれているお客さんの、ストレスを放出させるくらいはしたいなと、おこがましくも思っているんですよね」

一つひとつの言葉をまるでカンナで削るように丁寧に磨き上げ、今年50歳を迎える山崎まさよしの「等身大の思い」を綴ったプライベートアルバム『STEREO 3』は、長引くコロナ禍で疲弊した私たちの「心の免疫力」を、きっと高めてくれることだろう。




山崎まさよし
1995年に「月明かりに照らされて」でデビュー。1997年公開の主演映画『月とキャベツ』の主題歌「One more time, One more chance」がロングヒットしブレイク。全国各地のライブハウスやフェス、イベントへの出演、セッション参加なども数多く、音楽ファンのみならず多方面から支持を得ている。
https://www.office-augusta.com/yama/



『STEREO 3』
山崎まさよし
ユニバーサルミュージック
発売中


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発売中 6600円(税込)

Photo = Kentaro Kambe  Styling = Madoka Miyazaki  Hair and Make-up = Tetsuro Shima (juice)

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