tricotが語る、「恋愛」を音像化した新曲の裏側

tricot(Courtesy of cutting edge/8902 RECORDS)

4人組オルタナティブ・ロックバンド、tricotが今年最初のシングル「エンドロールに間に合うように」をリリースする。

この曲は、佐藤大樹(EXILE/FANTASTICS)×見上愛のW主演でドラマ化された『liar』のオープニング主題歌として書き下ろされたもの。男性目線と女性目線が入り乱れながら進んでいく新感覚のラブストーリーを、プログレッシヴな楽曲展開やフリーキーなギターサウンド、恋愛におけるもどかしい気持ちを綴った歌詞が見事に音像化している。昨年、バンドとしての新境地を切り開いた3rdアルバム『上出来』を出したばかりの彼女たち。すでに次のフェーズへと進んでいることを示すこの曲の制作エピソードについて、メンバー全員に話を聞いた。

─新曲「エンドロールに間に合うように」は、ドラマ『liar』の主題歌ですが、原作を読んでどう思いましたか?

中嶋イッキュウ(Vo, Gt):お話をいただいたときに、まだドラマの映像は出来上がっていなくて原作の漫画と台本を先に読んだのですが、女の子の焦ったい感じ、くっつきそうなのに「くっつかへんのかい!」みたいな感じがすごく面白かったです。オープニング主題歌のオファーをいただいて、やはりそこをフォーカスしたいなと思いました。しかも、ドラマの最後にはちゃんと主人公2人の恋愛が成就してほしかったので、「エンドロールに間に合うように」というタイトルにしました。

─なるほど、タイトルにはそんな意味が含まれていたのですね。ドラマは男女間のすれ違いを、男性目線と女性目線の両方から描いています。

ヒロミ・ヒロヒロ(Ba, Cho):結構、胸がキュンとするようなポイントもあったり、かと思えば急に突き放されるようなシーンもあったり、感情の波が激しいストーリー展開じゃないですか。観ているこちら側も、ドキドキしたりもどかしくなったりと感情移入しやすい作品だなと思いました。私はやっぱり主人公の女性目線にいつの間にかなっていて、とにかく深く考えずに読んでそのままの気持ちで取り組ませてもらいました。

キダ モティフォ(Gt, Cho):女性目線でいうと、「そういうこと、あるよね」と思うことがたくさんあって。話が噛み合わなくなったり、変なところで気持ちがすれ違ったり、周りの人たちの話を聞いていてもよくあるエピソードだなって。そういう意味で、誰にとっても身近なテーマを取り扱っているのかなと。

吉田雄介(Dr):自分は男性なので、他のメンバーとドラマの捉え方が少し違うのかなと思い、そのズレみたいなものを少し楽曲に入れられたらと思いました。男女混成バンドならではというか、どちらかの目線だけにならないような、そういう空気感を曲の中にも入れられたらいいなと思っていましたね。

─実際、バンドの中でも男女の捉え方の違いみたいなことを感じることはありますか?

中嶋:どうですかね。結構、私はメンバーのことをすごく特殊な人たちだなと思うんですよ。みんなジェンダーレスというか、吉田さんの中にも女性っぽいところを感じるし、逆に自分自身や他の女性メンバーの中に男性っぽさを感じるときもあって。メンバー以外の友人と会っている時は、女性だったら「女の子っぽいなあ」とか、男性なら「やっぱ男やな」と思うことの方が多いんですけどね。tricotのメンバーといる時だけは、そういうことをあまり感じない。常に一緒にい過ぎるからなんですかね、本当に性別を感じさせない存在なんです。

吉田:僕もそうです。こういう「男女の違い」について描かれた作品に触れる時は、あえて自分の中の「男性らしさ」を引っ張り出しているというか(笑)。「一般的に、男性目線だとこういうことなんだろうな」というふうに想像している感じで、普段はそんなに「男性らしさ」みたいなことを意識していない。割とフラットな方だと思っています。

─主題歌を作るにあたって、ドラマサイドからは何かリクエストなどありました?

中嶋:オープニングなので、ドラマを盛り上げるためにも疾走感のある曲にしてほしいと言われて、そこは結構苦戦しました。楽曲で表現する疾走感にもいろんな種類があるし、監督が思い描く疾走感を汲み取るまでにはちょっと時間がかかりましたね。「こんな感じかな?」「こういうことなのかも」みたいに、スタジオに入ってみんなで試行錯誤しながら作っていきました。


中嶋イッキュウ(Vo, Gt)


吉田雄介(Dr)

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