渡瀬マキが語る半生「歌うことを息をするぐらい普通のことにしたい」

―30年の中でLINDBERGの代名詞、渡瀬さんのイメージを決定づけている曲は「今すぐKiss Me」だと思いますが、リリースから時を経てこの曲にどんな想いを持っていますか。

「今すぐKiss Me」に出逢ってなかったら、今ここでインタビューを受けていることもないと思いますし、どこかで普通に働いて、お母さんとして暮らしていると思います。それぐらい、人生を劇的に変えてくれた曲だし、私の夢をかなえてくれた作品なので、この曲がなかったら今の私はない、というぐらいの存在ですね。




―「今すぐKiss Me」が大ヒットした当時は、バンドブーム最盛期であると共に、歌謡曲、ロックが混在していて後のJ-POPと呼ばれる音楽が醸成されていく時期でもあったと思います。そんな中で、渡瀬さんはバンドのボーカリストとしてどんな思いでその渦中にいたのでしょうか?

ジャンルというものを、一度も考えたことがなかったです。自分たちの音楽をロックとも思ってないし、ジャンルってまったく興味がなくて。聴いてくれている人が、ポップスだと思えばポップスだし。その当時は結構、「お茶の間ロック」と呼ばれていたんですよ。どんな意味があるかはわからないですけど(笑)。

―たぶん、親しみやすさがあったからでしょうね。

そんな感じなのかなって思います。自分たちも、「ロックだぜ!」みたいな感じがまったくないし、どんなふうにジャンル分けされてもあんまり気にしてなかったです。ただひたすら自分たちから生まれてくる音楽を、そのときそのときでやっていただけなんですよね。

―まわりのバンドのこともあまり意識していなかった?

う~ん、全然してなかったかもしれない。今で言うフェス、例えば金沢の「POP HILL」とかのイベントのときには、バンドの人たちがたくさん集まっていたんですけど、女性ボーカルがあんまりいなかったんですよね。それこそユニコーンとかジュンスカ(JUN SKY WALKER(S))とかレピッシュとかが出ていて、「わ~!すごいなあ」って思いながら観てました。「すっごい人気やなあ~」みたいな(笑)。

―ファン目線で観てたんですか(笑)。

そんな感じでした。ライバル視するような人もまったくいなくて。

―女性ボーカルのバンドというと、レベッカがいました。

レベッカさんはもう大先輩で、高校生のときにLPを聴いていましたから。とてもそんな次元じゃなくて、「はは~!(ひれ伏すイメージ)」っていう感じです(笑)。BARBEE BOYSさんとはイベントで一度ご一緒させていただいたことがあるんですけど、そのときも(見上げるように)「はあ~!(憧れ)」っていう感じで。プリプリ(プリンセス プリンセス)の香ちゃん(岸谷香(旧姓・奥居))は女性バンドでまた全然違うところにいたし。だからあんまり、そういう気持ちもなくて、みんなのことを「すごいな~!」と思って見てたと思います。

―現在の事務所、アップフロントクリエイトには森高千里さんも在籍していますが、以前から交流はあったんですか?

歌番組で、何回か一緒になったことはあるんですけど、千里ちゃんが言うには、私のアイドルとしてのデビューが一緒みたいなんです。それで千里ちゃんはLINDBERG以前い私のことをどこかで見たことがあるらしいんですよ。歌番組で一緒になっても、なかなか他の方と話す機会はなかったんですけど、千里ちゃんは1人で私はバンドだから、「ワイワイ楽しそうにやってていいね~」みたいに思っていたということは後々言われました(笑)。雑誌で対談してから仲良くなって、今でも仲良くさせてもらっています。

Rolling Stone Japan 編集部

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