米スーパーボウル・ハーフタイムショー、歴代出演者の格付けチェック(2022年改訂版)

22位:ジャネット・ジャクソン、ジャスティン・ディンバーレイク、P・ディディ、キッド・ロック、ジェシカ・シンプソン、ネリー(2004年)


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世間はまず乳首を、そしてそれがもたらした被害を目の当たりにした。間違いなく、史上最も有名なハーフタイムショー。アメリカの若者世代は、「乳輪」という言葉が母親の口から飛び出すのを耳にする羽目になった。当時、飛ぶ鳥落とす勢いだったジャネット・ジャクソンのキャリアはここでいったん終わった。ジャスティンも問題のシーンでの無様な(そして堂々とした素ぶりは微塵もない)対応のせいでイン・シンク解散後の大衆との蜜月が幕を閉じ、キャリアが潰されるところだった(JTがセクシーの称号を取り戻すには、2年の歳月とティンバランドの力が必要だった)。

音楽は概ね素晴らしかったが、その後はひどいものだった。ブッシュ政権(取り分け連邦通信委員会にいたコリン・パウエル元国務長官の息子)はヒステリックに正義を振りかざし、MTVとミス・ジャクソンを悪者扱いした。MTVはこれを境に音楽ビジネスから完全撤退を決めたと言っても過言ではない。とにもかくにも、アメリカにとっては大惨事。ついでにジェシカ・シンプソンも歌ったんだった。

21位:ボーイズIIメン(1998年)


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ハーフタイムに関して言えば、90年代後半の合言葉は「60年代のR&Bオールディーズ多めでよろしく」。当時、まだ世界最大かつ最高のポップグループのひとつに数えられたボーイズIIメンは、このステージでモータウンに敬意を払い、スモーキー・ロビンソンやテンプテーションズ、フォートップス、マーサ・リーヴスなどを披露した。そしてなんと――ジム・ベルーシはいなかった。




20位:ジャスティン・ティンバーレイク(2018年)


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JTが14年前、ジャネット・ジャクソンのキャリアをふいにした犯行現場に、よりによって「Rock Your Body」を引っ提げて帰ってきた。基本に徹して、イン・シンクの再結成も(デスティニーズ・チャイルドのような顔出し出演すらさせなかった)、ジャネット・ジャクソンとの再演も、「Cry Me A River」でのブリトニー乱入もなし。「Sexy Back」ではティンバランドすら出てこなかった。ジャスティンはニューアルバムを宣伝し、できるだけ当たり障りなく観客を楽しませることを心がけた。ハイライトは「I Would Die 4 U」でのプリンスと束の間のビデオデュエット。だが「Can’t Stop The Feeling」で幕を閉じる頃には、プリンスでさえも状況をうまく説明できなかっただろう。




19位:スティーヴィー・ワンダー、グロリア・エステファン(1999年)


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マイアミで、スティーヴィーは歌い継がれてきた往年の名曲をいくつか披露し、殊勝にも地元の女神グロリア・エステファンにスーパーボウルの汚名返上という長年の夢を叶えさせた。そして「Sir Duke」でデューク・エリントン生誕100周年を祝い、フィナーレでは片方の袖に「AFRICAN」、もう片方の袖に「AMERICAN」と書かれたジャケットを着て登場した。グロリアがビートを操り、マイアミの観衆にサルサパーカッションをプレゼント。友情出演で駆け付けた、当時人気だったスイングリバイバルの火付け役、ビック・バッド・ヴードゥー・ダディは未来の歴史研究家たちに、90年代がいかに奇妙奇天烈だったかを教えてくれることだろう。


Translated by Akiko Kato, Rolling Stone Japan

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