ビッグ・シーフが語る、バンドの絆と探究心「私たちの音楽は道しるべであってほしい」

カバナーズ・ボール・ミュージック・フェスティバル2021に出演した際のビッグ・シーフ。(左から)バック・ミーク、ジェームズ・クリヴチェニア、エイドリアン・レンカー、マックス・オレアルチック。(Photo by Sacha Lecca for Rolling Stone)

 
ビッグ・シーフ(Big Thief)が4ADより2枚組最新アルバム『Dragon New Warm Mountain I Believe in You』をリリース。今日のUSインディーロックにおける最重要バンドが、家族と呼ぶバンドメンバーの絆、ノンストップで傑作をつくり続ける背景、ストリーミング時代における自分たちの役割を語る。

※2022年7月26日追記:ビッグ・シーフ待望のジャパン・ツアー、即日完売となった東京の追加公演が決定。詳細は記事末尾にて。

ビッグ・シーフのエイドリアン・レンカー(Vo,Gt)は、自身のバンドの楽曲がカフェで流れると眉をひそめる。「あの曲をレコーディングしたときは、とてつもなくラディカルで荒削りだと思ったことを覚えている。まるで、何かを破って開けるような感覚だった」と彼女は言う。「でも、いまこうしてカフェで聴いてみると、周囲のモヤモヤとすっかり同化してしまった。そこにはもう、ドラマはない」

ほかの場所はもとより、とりわけ多くのカフェでビッグ・シーフの楽曲を耳にすることが増えたのは、ここ数年のことだ。2019年に『U.F.O.F.』と『Two Hands』という2枚のアルバムを世に送り出した4人組の実験的なフォークロックバンドであるビッグ・シーフは、公演のチケットを完売させ、グラミー賞にノミネートされ、その道中で避けられない逆風にさらされる、インディー・ロック界の寵児となった。



「モチベーションあふれるアーティスト集団の成功を目の当たりにするのは、本当に嬉しいことだ」と、ウィルコのフロントマン、ジェフ・トゥイーディーは語る。トゥイーディーはビッグ・シーフの古参ファンだ。「ビッグ・シーフが素晴らしいバンドである理由のひとつとして、(リリースされる作品)がどれもとんでもなくハイレベルであることが挙げられる」

2月11日リリースの2枚組最新アルバム『Dragon New Warm Mountain I Believe In You』(全20曲収録)のレコーディングほど、ラディカルで荒削りな印象を与えるプロセスは存在しないだろう。アメリカでロックダウンが敷かれた2020年の陰鬱な夏に、レンカー、バック・ミーク(Gt)、ジェームズ・クリヴチェニア(Dr)、マックス・オレアルチック(Ba)の4人は、5カ月にわたってレコーディングを行った。レコーディング・セッションは、西はアリゾナの砂漠、コロラドの山々、ロサンゼルスから、東はアップステイト・ニューヨークまで、アメリカを横断する形で行われた。そのプロセスは探検さながらの様相を呈し、気づく頃には、タイトルトラックの氷柱が割れる音をメンバー自ら録音していたほどだ(「(氷柱の音は)実際、あの年の冬にあの場所に閉じ込められた、つまりは蓄積されたエネルギーなの」とレンカーは話す)。

Translated by Akiko Kato

 
 
 
 

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