西岡恭蔵「病と闘いながら生み出した名曲の軌跡をたどる」

4月のサンタクロース / KYOZO & BUN

中部:これを選んだのは、恭蔵さんってクリスマスコンサートが大好きだったんですよ。東京と大阪で必ず毎年クリスマスコンサートをやっていて、その度に新曲、クリスマスの曲を作るんですよ。それはなんでかなと思って調べたけど、理由が分からなかったんです。ただ、KUROさんがわりとクリスマスが好きだったというのがあるのと、クリスマスソングってスタンダートになりやすい。だから、そこを狙っていたのかもしれないですね。

田家:あれだけ海外長期旅行をすると、海外のクリスマスのスペシャル感みたいなものが忘れられないのかもしれないですしね。

中部:暑い地方の「12月のクリスマス」って歌も書いていて、これは「4月のサンタクロース」もそうなんだけれど、ちょっと季節外れのクリスマスも書くんですよね。最後の最後まで、クリスマスソングはずっと作っていますね。

田家:なるほどね。で、第10章「病魔」であらためて思ったことに、KUROさんの存在感が日増しに強くなってくる。

中部:ガッチリ支えて生きるパートナーということになると思うんですけれど、このときのKYOZO & BUNはファンクラブまでKUROさんが作るんですよ。ファンクラブの会報も作って配るんです。KUROさんは大阪で雑誌の編集者をやっていた時代があるので、お手の物だったと思いますけれど、そういうものを作って恭蔵さんを応援するんですね。陰から、目立たないようにね。それは非常にあの、夫婦愛というかね……。一緒にやっていた岡嶋善文さんは「本当に仲の良い夫婦だなと思っていた」と言っていましたね。

田家:KYOZO & BUNもHalf Moonも、KUROさんがマネージャー兼スタイストみたいなところがあったという。

中部:そうなんです。髪の毛を編んだりとか、恭蔵さんもかなり奇抜な格好をして歌っていたらしいんだけれども、楽しいステージなんで全国各地から仕事が来てたって言っていましたね。

田家:『プカプカ 西岡恭蔵伝』は愛情物語でもあります。

中部さんが選ばれた6曲目、1986年に発売になったKYOZO & BUNのカセットブック『パラダイス・カフェ』から「星降る夜には」。

Rolling Stone Japan 編集部

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