西岡恭蔵「最愛の妻・KUROとの別れから晩年のアルバムをたどる」

僕のマリア / 秋本節

田家:2019年4月3日、西岡恭蔵さんの20周忌に発売された、シンガー・ソングライター・秋本節さんの2枚目のアルバム『KYOZO & KURO』。14曲入っていて、全曲が恭蔵さんとKUROさんの曲。その中の曲、「僕のマリア」をお聴きいただきました。

中部:20年経っても新曲が出てくるという恭蔵さんのエネルギーがあるんですけれど、「プカプカ」もすごくエネルギーのある歌で、もう50年経っているのに最近はGLIM SPANKYの松尾レミさんがカバーして歌っていて、若い人たちの間にもまたこの歌が生きたこととしてあるんですよね。そういう恭蔵さんのすごいエネルギー、こういう音楽家がいたんだということを、最後に自分で自分が確認したという感じだったですね。

田家:全489曲を書いたシンガー・ソングライターの生涯。この本で伝えたかったことをあらためて訊くのは野暮な質問なんですが。

中部:それはやっぱり、こういう人がいたんだということを僕は知ったし、調べて分かったから、それを伝えたいと思ったんです。それに、読書というのは映画を観るのと同じで、一編の物語を読んでもらえるし、人ひとりの人生をしっかり読んで楽しむというような本になるなと思って、ずっと書いていたんです。やっぱり、やさしく人がどれだけ生きられるかということを50年間かけて実験したみたいな人なので、このやさしさはちょっと真似できないなと最後は思いましたけどね、真似したいけど(笑)。

田家:この本が映像になったらどうなるかなあと思って読んだりもしたんですよ。

中部:ありがとうございます。それはすごく意識して、要するに音楽映画になると思って……ロードムービーにもなるだろうし。でも西岡さんもそういうものを持っているんですよ、映像みたいなものをね。自分の中に絵を確実に持っているなと思いました。

田家:ロードムービーのような人生だった感じがありますもんね。

中部:そうなんですよ。今はもう20数年前に亡くなった人なんですけど、取材をすればするほど、書けば書くほど、生き生きとしてきてしまうという人ではありました。

田家:労作でありました。1ヶ月間ありがとうございました。

中部:こちらこそ、どうもありがとうございました。

Rolling Stone Japan 編集部

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