メキシコからの移民女性、性的人身売買の実態を証言「逃げ出さないと死んでしまう」

被告の弁護士は上訴する意向

メレンデス-ペレス被告の弁護士は上訴する構えだ。デリアさんの弁護を務めるロリ・コーエン氏はメキシコの法律事務所と手を組んで、デリアさんにしかるべき賠償金が支払われるようにするつもりだ。「メキシコでは汚職がはびこっていますから、裁判でこのような判決を得るのはもちろん厳しいでしょう。ですが我々は長期戦で臨みます」とコーエン氏は言った。

一方デリアさんはこの先の未来に目を向けている。彼女は現在アメリカ在住――コーエン氏いわく、具体的にどの州に住んでいるかは明かせないものの、身の安全を考慮して、メキシコに戻ることはないだろう。彼女は現在カスタマー電話センターで働いている。「怒った人たちを相手にしています」と言うが、その声は朗らかだ。「この仕事が大好きです。みな敬意を払ってくれますし、皆さんとてもやさしくしてくれます」。まもなく高校課程を終えるところで、今後も英語は勉強し続けるつもりだ。元気になりたい時はメキシコの音楽を聴く。「ロマンティックなことを書いてみようかな、という気分になります」と言って、また笑った。彼女は趣味も見つけた。日記をつけること、写真を撮ること、裁縫、そしてチョコレートを食べること。

デリアさんの将来の夢は、人身売買の被害者のために戦う活動家になって、売春から逃げ出して警察に駆け込んだかつての自分のように、助けを求める他の被害者の力になることだ。「助けに来てくれる人は誰もいなかった。私は自力で逃げ出したんです」。だが当面は、この物語に区切りを付けることができて満足している。「もう安心して眠れる、もう裁判のことを心配しなくていいと思うとうれしいですね」と彼女は言う。「ずっと肩にのしかかっていた重荷が取り除かれました。今は絵の勉強を頑張っています……これからたくさんのチャンスが待っているかと思うとワクワクします」

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from Rolling Stone US

Translated by Akiko Kato

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