反ユダヤ放火事件、死亡した犯人の兄を逮捕 米

マサチューセッツ州ボストンの連邦裁判所(Photo by Michael Dwyer/AP)

スウェーデンのアメリカ連邦当局は、アメリカ大使館の元警備業者、アレクサンダー・ジャンナカキス被告をストックホルム市内で逮捕した。現地時間16日に公開された起訴状によると、男は弟が犯したとみられる犯罪を隠蔽したとして起訴された。弟はボストン界隈で発生した反ユダヤ放火事件の捜査で第1容疑者に挙がっていた。

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マサチューセッツ地区連邦検事局の報道声明によると、マサチューセッツ州クインシー出身のジャンナカキス被告は昨年9月にボストンの大陪審から起訴されていた。現在は強制送還の手続きが行われている。

2019年5月、ボストン界隈のハバッドセンターとユダヤ系企業で、2週間に4件の火事が立て続けに発生した。火事は建物の外装に軽度の損傷を起こしただけで消し止められたが、この事件で「ボストン市内および付近のユダヤ人コミュニティは心的外傷を受けた」と起訴状には書かれている。発火促進剤があったことから捜査官は放火と推測し、ヘイトクライムおよび国内テロ行為の容疑で捜査を進めていた。

2019年11月、ジャンナカキス被告の弟(起訴状には実名の記載なし)が昏睡状態で入院し、同じ月に死亡した。起訴状によれば、2020年年明けの時点でこの弟が事件で唯一の第1容疑者だった。同じころ、弟の指紋の照合結果が届き、放火現場のひとつから逃走する際に犯人が落としたアセトンの缶から採取された指紋と一致した。さらに2020年1月、FBIが弟の母親に事情聴取したところ、母親は「容疑者が反ユダヤ的な思想を抱いていたことを認めた」という。

起訴状によれば、ジャンナカキス被告はその当時スウェーデンにいたが、2020年初めに弟の事件に対処すべくアメリカに帰国した。同被告は実家の弟の寝室から携帯電話、ノートパソコン、その他電子機器に加え、スケッチ、メモ、手紙類をスウェーデンに持ち去ったと当局は見ている。

ジャンナカキス被告は2020年3月にも数点を持ち去ったと当局は主張。この時、連邦捜査官は同被告を尋問しようと実家を家宅捜索した。起訴状によれば、家宅捜索で弟の寝室から反ユダヤ的なメモが見つかったという。メモには「ユダヤ人のいない世界、それはクズのいない世界。我々が目指すべき世界だ」「殺さなくては、ユダヤ人を全員殺さなくては。とにかくそれが重要だ」といった文言が書かれていた。

Translated by Akiko Kato

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