アヴリル・ラヴィーンのパンク回帰、トラヴィス・バーカーらキーマン達を通して解説

トラヴィス・バーカーのレーベル「DTA Records」と契約

この世代にとってポップ・パンクとは、バンド・サウンドの追求が目標ではなく、ラッパーのようにソロ・アーティストとして、トラックに乗せて歌うスタイルが主流だ。今やラッパーの楽曲にも、ポップ・パンク・アーティストの楽曲にも、「feat. Travis Barker」のクレジットとともに、トラヴィスのシグネチャーとも言えるドラム・ビートが入っているのは珍しくなくなった。そしてこのトラヴィス、すでに2007年のアヴリルのアルバム『The Best Damn Thing』では3曲ドラムを叩いているのだが、コロナ禍になってから二人が再会して、トラヴィスがアヴリルをセッションに誘ったことが、今回のアルバム作りにつながったようだ。しかもフリー契約だったアヴリルはこのアルバムで、トラヴィスのレーベル、DTA Recordsと契約している。

二人目のキーマン、ジョン・フェルドマンは、ゴールドフィンガーのヴォーカル&ギターも務めつつ、90年代後半から数多くのポップ・パンク、エモを代表するバンドの制作を手がけてきたことで有名なプロデューサーだ。blink-182のアルバムも手がけているし、DTA Records所属のZ世代アーティストであるJxdnのプロデュースも手がけている。『Love Sux』がど真ん中とも言える間違いないポップ・パンク・サウンドに仕上がっているのは、ジョンのプロデュースによるところも大きい。

そしてもう一人プロデュースを手がけているのがモッド・サンだ。最近ではアヴリルの恋人としても知られているが、元々ハードコア・バンドのドラマー出身で、ヒップホップとロックの新しい形のクロスオーバーを早くから打ち出してきたアーティスト、プロデューサーである。今回、トラヴィスとともに、プロデュースのみならず、ドラムのビートも提供している。

客演の方も豪華で、トラヴィスがプロデュースを手がけるマシン・ガン・ケリー、トラヴィスのバンドメイトでblink-182のヴォーカル&ベースのマーク・ホッパスが参加している他、トラヴィスともマシン・ガン・ケリーとも客演する仲で、裏方として、ジャスティン・ビーバーを始めとする数多くの楽曲のヒットメイカーでもあるブラックベアーが、歌で参加している。この辺はトラヴィスの人脈が生きていると言っていい。

■「Love It When You Hate Me」リリック・ビデオ



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