アヴリル・ラヴィーンのパンク回帰、トラヴィス・バーカーらキーマン達を通して解説

アヴリルが「一番やりたかった音楽」

それにしても今の時代のポップ・パンク、エモの復活ぶりはスゴい。今年10月22日にはラスベガスで「When We Were Young」というポップ・パンク、エモのフェスが開催されることになり、アヴリルの出演も決まっているほどだ。また音楽だけでなく、ファッションの世界で、Z世代によるY2Kファッション、つまり2000年代のファッションのリバイバルが起こっていて、そこでもアヴリルはファッション・アイコンとして再び大きく注目されているという点も見逃してはならない。

2000年代というのは、パンクにルーツを持つ音楽、ファッション、アティテュードが一気にブレイクした時代だ。音楽性も自由になった。パンク・ファッションがショッピングモールで手軽に買えるようになって、モール・パンクという言葉が生まれるくらい広がった。パンクの敷居が低くなって等身大になった分、それまでにはなかった幅広い表現も多く生まれることとなった。失恋や鬱も歌のテーマになったし、パンクはこうあるべきというしばりから解放されて、ありのままの感情を表現することが自由になったのだ。そして今、同じようなことがヒップホップの世界で起こっていて、ヒップホップの枠にとらわれない自由な表現がリアルな音楽になっている。アヴリルが今の時代に改めて注目されているのは、彼女の音楽、ファッション、アティテュードに、時代が必要とするものがあるからだと思う。実際、アヴリルが客演で参加したモッド・サンやウィロー・スミスの曲のMVを観ていると、アヴリルが彼らと並んでいるのに何の違和感も感じさせないのだ。

もちろんアヴリル自身、いろいろな音楽が好きで、この20年間、幅広い音楽性を様々な楽曲で形にしてきたのは間違いない。そんな中、『Love Sux』でのアヴリルは、自分にとってのエッセンスとも言える部分を、2022年のリアルとして表現しているように思える。今回のアヴリルは、時代の先端を行くプロデューサーやライターを起用して、時代に合わせたポップ・ミュージックを作るようなことはしなかった。代わりに、自分のことをよくわかっている友人のような人たちとともに、一番やりたかった音楽を作ったという感じがする。失恋を歌った曲もあるけれど、ほとんどがパワフルで楽しくて、ロックしている曲ばかりのアルバムになっている。歌詞のメッセージも今回はポジティヴなものが多く、聴き手に力を与えるような強さを感じさせる。20年のキャリアを経てアヴリルがやりたかったのは、本来の自分をストレートに出したパワフルな音楽だったのではないだろうか。そして、それは今の時代がアヴリルに強く求めるものでもあったのだろう。

■「Bite Me」MV(アコースティック)




『ラヴ・サックス』
アヴリル・ラヴィーン
発売中
国内盤:全形態:解説・歌詞・対訳付き、高音質ブルースペックCD2(Blu-spec CD2)仕様

完全生産限定盤/CD+GOODS(SICX-30136~30137)
価格: 3850円(税込)
特製トートバッグ付属

通常盤/CD(SICX-30138)
価格: 2750円(税込)

■商品ページ
https://www.sonymusic.co.jp/artist/avrillavigne/page/LoveSux

■国内盤用
https://SonyMusicJapan.lnk.to/Avril_LOVESUX_JPRS

■配信用
https://SonyMusicJapan.lnk.to/Avril_LOVESUXRS

https://SonyMusicJapan.lnk.to/AvrilLavignePlaylistRS

収録楽曲:
1. Cannonball | キャノンボール
2. Bois Lie feat. Machine Gun Kelly | ボーイズ・ライ(feat. マシン・ガン・ケリー)
3. Bite Me | バイト・ミー
4. Love It When You Hate Me feat. blackbear | ラヴ・イット・ホウェン・ユー・ヘイト・ミー(feat. ブラックベアー)
5. Love Sux | ラヴ・サックス
6. Kiss Me Like The World Is Ending | キス・ミー・ライク・ザ・ワールド・イズ・エンディング
7. Avalanche | アバランチ
8. Déjà vu | デジャヴ
9. F. U. | エフ・ユー
10. All I Wanted feat. Mark Hoppus | オール・アイ・ウォンテッド(feat. マーク・ホッパス)
11. Dare To Love Me | デア・トゥ・ラヴ・ミー
12. Break Of A Heartache | ブレイク・オブ・ア・ハートエイク
※日本盤ボーナストラック
13. Bite Me (Acoustic) | バイト・ミー(アコースティック)

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