共和党のアンチ・トランスジェンダー政策は「大きな恐怖を煽る」

Eric Gay/AP Images

全米でトランスジェンダーの権利が脅かされつつあるが、テキサス以上に州ぐるみの迫害を行おうとしている場所はないだろう。

テキサス州のグレッグ・アボット知事とケン・パクストン州司法長官らはトランスジェンダーの若者を含む家族を州の外に追い出そうとしているようだ。アボット知事が2022年2月22日に発表したテキサス州家族・保護サービス局に宛てた書簡は、トランスジェンダーの子どもたちに対する性別適合治療の調査を同局に求めた。前日のパクストン司法長官による、「児童に対する性別適合治療は、テキサス州の法の下では児童虐待にあたる」という意見書を受けてのものだ。

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アボット知事は同局に対し、ホルモン治療などを含む性別適合治療に言及し、「児童に対する虐待的な行為」とした上で「迅速かつ徹底的な調査」を要求した。また、こうした治療を受けた子どもたちと接触した医師、看護師、教師らが報告をしなかった場合、処罰を受ける可能性があるとしている。さらに、一般の市民においても同様の報告の義務と処罰の可能性があることを知事は付け加えた。

アボット知事の政策に対し、LGBTQの権利支援団体のナショナルセンター・フォー・トランスジェンダー・イコーリティはTwitterに「トランスの若者たちを愛し、サポートすることは虐待ではない」「この政策は私たちの尊厳、そして全てのトランスジェンダーの人々に対する攻撃です」と投稿した。

また、人権団体のヒューマン・ライツ・キャンペーン代表のジョニ・マティソン氏は「恐るべき事態です。性別適合治療はトランスジェンダーの若者たちの人生を救うものです。今回の差別的で危険な行為は、テキサス州の子どもたちとその家族の人生を揺るがすものであると言わざるを得ません」と発表した。

市民団体のトランスジェンダー・ロウ・センターのシェルビー・チェスナット理事はローリングストーン誌の取材に対し、「アボット知事の方針は、現状では法的な縛りを課すものではなく、トランスジェンダーの若者たちの憲法上の権利が奪われるものでもありません。状況が明らかになりつつある中で、私たちはもうすぐ、ことの顛末を知るでしょう。しかし、このような政治的な動きは人々の大きな恐怖を煽るものであり、それによりトランスジェンダーの若者やその家族たち、それを援助する専門家たちが現実的に影響を受けるということも確かです。保護者の方たちが子どもを愛し、彼・彼女らの望む人生を送ってほしいと考えることは間違いなどではありません。それは愛であり、理解であり、自身らの望むものを知る若者たちへの信頼なのです」と語る。

Translated by Kazuhiro Ouchi

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