―モミーさんは、「ウルトラマリンブルー」で歌われているような、〈大人になれないまま 透き通るような青さはなくした〉という気持ちをずっと引きずってきたんですか?
モミー:そうですね。上手く行かないことをずっとクヨクヨしながら生きている方の人間なので。でもやらないといけないし、ライブの日は来るしっていうので、なんとか奮い立って今までやってきているので。
―そういう思いにバンドメンバーも共有する部分があるから、一緒にやっている?
樹里:う~ん……僕は何も考えないタイプなので(笑)。モミーと一緒にいるのが一番面白いことができるだろうなっていうところが大きいです。最悪、僕は売れようが売れまいがどうでも良いところもあったりするので。ただ、一緒にステージに立っているのは面白いし、それがすべてだと思います。
―なるほど。樹里さんがこのアルバムで特に思い入れのある曲ってありますか?
樹里:最初の頃にやっていた「蝉の唄」は、改めて録ってすごく良い曲だなと思いました。モミーらしさが全部出ている歌詞なんですけど、やっぱり誰しもの記憶に引っかかる言葉が多くて。まったく同じ景色じゃないけど、何かを思い出して切なくなって、でもこれから先のことを見ていけるような気分になれる曲の展開になっているので、結成当初から良い曲だと思っています。
―樹里さんは、アルバムの中ではエモーショナルにギターを弾きまくっている場面も結構ありますよね。このバンドでどんな面白いことを表現したいと思っているのでしょうか。
樹里:僕は音楽もちょっとふざけちゃうんですよ。例えば、タイトルが「メイ」という曲では、ちょっとブライアン・メイっぽいフレーズを入れてやろうとか。それで1ヶ月、クイーンだけ聴いている時期がありました。
モミー:いいでしょ? この思考は僕にはないんですよ。僕もそれを聞いて「おっ、いいねいいね!」って。
―思考に迷いがないですね(笑)。
モミー:いや、基本僕はコンプラ人間なので、面白くても誰かを傷つける可能性があったら拒否するんですよ。でも、樹里はすごくカッコいいものを取り入れてくれるので。発想力が豊かで、面白いことがすべてだっていう人間だから、攻めの意見が出てくるんです。僕はどっちかというと今の状態を守りたいという人間なので、樹里の意見を聞くとバンドが飛躍しそうだなと思って、今はすごく取り入れてます。
―ざしきさんは、思い入れのあるアルバム収録曲はありますか。
ざしき:「28」は、そういう世代には刺さる曲だと思っていて。私もコーラスするパートがあるんですけど、感情移入しながら歌っています。今回のアルバムには私が加入する前からあった曲が多くて、「28」もベースのフレーズとかはそのままなんですけど、「シーサイド」や「東京」は加入後に出来た曲なのでフレーズを考えてます。「シーサイド」はたくさん動く力強いフレーズを意識していて作りました。
―マリオさんは、モミーさんが作る曲についてどう感じてドラムを叩いているのでしょうか。
マリオ:僕は、モミーさんが言っていることを100%理解しているかというと微妙なところなんですけど、自分の感覚として、モミーさんが作る曲を聴いていると、自分の中でワクワクするんですよね。そういう曲を聴いてドラムで昇華するのが楽しいから一緒にやってます。最近、今までやってこなかった裏拍でタイミングを合わせて演奏するような曲が多くなってきたんですけど、その代表格として僕がイチオシしたい曲が「シーサイド」です。
樹里:ちなみに「シーサイド」は夜の海が舞台なので、「夜、海…LUNA SEAだ!」と思ってSUGIZOさんっぽいフレーズを弾きました(笑)。
モミー:ちなみにもう1つ言うと、「シーサイド」は「ウルトラマリンブルー」のMV撮影のときに受けた印象を曲にしました。MVも同じ場所と監督で撮っています。