米俳優の性的暴行事件、再審理却下 告発した女性たちの怒り

左:ビル・コスビー 右:リリ・バーナードさん(Photo by Dennis Van Tine/STAR MAX/IPx; Marcus Ingram/Getty Images)

米俳優のビル・コスビー氏が性的暴行罪で実刑判決を受け服役。しかし昨年6月、有罪評決破棄で釈放された。これを不服とした検察側は米連邦最高裁にすぐに上訴したが、現地時間7日に却下された。コスビー氏を告発した女性たちは「吐き気がする」と怒りのコメントを寄せている。

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ニュースを知った時、リリ・バーナードさんは「吐き気」をもよおさずにはいられなかったそうだ。

「がっかりですし、憤りも覚えます――ですが、驚きはしません。これが私たちの国の傾向です」と言うバーナードさんは、1990年にアトランティックシティ・ホテルでコスビー氏からレイプされたとして、現在ニュージャージー州の連邦裁判所で訴訟を起こしている。

最高裁の再審理却下のニュースの直後、ローリングストーン誌はコスビーを告発した女性3人に話を聞いた。そのうちの1人がロサンゼルスを拠点に活動するアーティスト兼女優のバーナードさんだ。ちなみに9人の最高裁判事のうち男性2人は、性的不適切行為で告発された過去を持つ。

「アメリカのいわゆる“司法制度”は、いまだに女性や性的暴行の犠牲者に偏った見方をしていることの証です。はらわたが煮えくり返りそうです。吐き気がします」とバーナードさん。

同じくコスビーを告発していたアンジェラ・レスリーさんは、最高裁の判断に失望しているものの、この一件があったからといってコスビー氏の名誉挽回になるとは思っていない、とローリングストーン誌に語った。「彼がしたことを変えることはできません。単に法律の規定の問題だと思います。陪審は彼を有罪だと判断しました。容疑が晴れたわけではありません」

レスリーさんは駆け出しの女優だった1992年、キャリアの手伝いをするという前提で、コスビーからラスベガスのホテルのスイートルームに誘われたそうだ。彼は即興オーディションとして、髪を濡らして酔った演技をするよう彼女に指示した。彼はドリンクを渡したが、彼女はほとんど口を付けなかった。すると彼はいきなり彼女の手を掴んで、無理やり性行為におよんだ。

レスリーさんはコスビー氏を名誉棄損で訴えた7人の女性のうちの1人だ。彼は容疑を否認したが、女性たちは和解を勝ち取った。「彼の行いは明るみにされました。今度は彼自身が、自分の行いが受け入れがたいものだったと気づく番です。私は最初からコスビー氏に、罪を認めて謝罪するよう要求していましたが、実現することはありませんでした」とレスリーさん。

Translated by Akiko Kato

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