マカロニえんぴつ・はっとりが振り返る10年間、王道と違和感のある音楽を作る理由

―その一筋縄では行かない感じが、多くのリスナーのアンテナに引っ掛かっていると思うんですよ。ただ、最初の頃はお客さんに受け入れられなかったとか。

それはシーンの流れも影響してると思うし、当時の楽曲というよりも、バンドにおける自分の立ち位置みたいなものに、まだ覚悟が足りなかったというか。昔から作る曲には自信があったんですけど、フェスシーンとかサーキットシーンが一番盛り上がっている最中、みんなに馴染んでより多く試食してもらおうというスタンスになっていたから、引き込もうという気概が足りなかったのかもしれないですね。流行りみたいなものを不健全な見方で自分達に還元しようとしていた。それに気づいて3枚目のミニアルバム『s.i.n』では振り切ったつもりだったんですよ。

―『エイチビー』から『s.i.n』への流れは、マカロニえんぴつが一皮剥けた感じがしましたね。

そこが転機になるかなと期待を込めて出したんですけど、あまり良いセールスが出なくて。あのときは結構ショックでしたね。振り切ってもダメか、と。ただ、今考えたら急な振り幅だったから、リスナーがついて来れなかった気がします。そこからめげずにアップテンポの4つ打ちナンバーは入れず、シーンに迎合しいてない1stアルバム『CHOSYOKU』を作ったことが本当の転機になった感じがしますね。

―『s.i.n』をきっかけに、はっとりさんの中で曲作りを変えたところはあるんですか。

どちらかというと『アルデンテ』とか『エイチビー』の方が僕の中では変えています。マカロニのメンバーに、最初に聴かせたデモが何曲かあるんですけど、その中には今よりも展開が多いプログレな曲が2、3曲あったりしたので、それをポップスの方程式に習って、展開を減らして分かりやすくし『アルデンテ』と『エイチビー』を作った。だから作り方を変えたのは最初の方で、今は段々と戻っていってる気がします(笑)。

―確かに、作品毎に尖っていってますよね。

どこまでおかしくしたらポップネスじゃなくなるのか?というギリギリのラインを探しつつ、元の趣味嗜好に戻っている感じです。だから最初の方が洗練した曲を作ろうとしていましたね。デビュー当時は、もっと色々やって良かった時期なんですけど、おさまりの良いものを作ろうと努めていた気がしますね。

Rolling Stone Japan 編集部

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