中島みゆきのラスト・ツアー、瀬尾一三と振り返る

浅い眠り / 中島みゆき

田家:今回このアルバムを全曲ご紹介するにあたって、どうしようかと思ったのはメドレーなんです。さっきの「アザミ嬢のララバイ」と「悪女」は2曲目3曲目のメドレーで。この後、4、5、6がほぼメドレーになっているでしょう。「浅い眠り」の後に「糸」と「ローリング」。この3曲が並ぶか! という。これをコンサートの雰囲気通りにお聴きいただくか。そうすると、ラジオ番組として音楽流しっぱなしで終わっちゃうかなと思って。

瀬尾:じゃあ、なんかしゃべりましょうか(笑)。

田家:「浅い眠り」は拍手が入っていたのでここで切って、また「糸」と「ローリング」はメドレーでというふうにしております。でも、3曲続いていたんですもんね。

瀬尾:はい。拍手で「浅い眠り」は終わってますけど、MCも何もなかったので。

田家:メドレーじゃないですけど、ほとんど曲繋ぎになっていた。

瀬尾:MCがなくて、拍手が終わり次第「糸」が始まってましたからね。

田家:絶妙なタイミングですね。

瀬尾:有無を言わさずというか、なんでこれが並ぶんだみたいにお客さんも呆気にとられたと思いますけども(笑)。このへんが中島さんの妙というか、波、山谷の持っていき方みたいなものとか、意表を突くような感じ。だからと言って、違和感はないわけです。

田家:全然ないですよ。「浅い眠り」もこの後の「糸」や「ローリング」と全然違う曲想ですし。それも瀬尾さんがアレンジされて、こうなっているんでしょうし。

瀬尾:もともとのアレンジそのままですけどね。

田家:1992年のアルバムですからね。

瀬尾:ただ短くしたってだけです。みなさんご存知の曲は申し訳ないけど、会場の時間のこともあるので、1曲でも多く加えたくてカットさせていただいたりしておました。

田家:短くはなっているんですけども、ちゃんと曲を聴いた感じがしました。

瀬尾:そうですね。そういうふうに思っていただけるとよかったんですけどもね。大おおにしてみなさんあまり不思議がられていないと思いますよ。

田家:気がつくと、「あれ? ちょっと短くない?」、「あの歌詞がないな」ってなる程度で。

瀬尾:なるべくスムーズに繋げるようにしてました。

田家:4曲目、5曲目、6曲目に先程の「浅い眠り」の後に「糸」と「ローリング」のメドレーが入るわけですが、「ローリング」は瀬尾さんが関わる前の曲ですよね?

瀬尾:そうですね。オリジナルは違います。僕のバージョンになって作り直したやつですね。

田家:1993年の『時代-Time goes around-』の中のバージョン。この「糸」と「ローリング」の流れはすごかったですねー。

瀬尾:普通は繋げませんよね。男女の機微みたいなものを歌って、その後に中年のヤサグレみたいな曲が出てくるという(笑)。所謂中間管理職ぐらいの人がものすごく「わー身にしみる」みたいな曲をなぜ男女の機微から繋ぐんだろうと。

田家:幸せに巡り合った歌から、まださまよってますという歌ですからね。

瀬尾:まあ、これが人生ですよ。

田家:ですよね。そういう並びを見たとき、イメージは浮かぶんですか?

瀬尾:こういう組み合わせが大好きなんで燃えますよ。間髪入れずに繋げているので、これも編集で繋げたとか言われているんですけども、ちゃんと演奏で繋がっています。

田家:お聴きいただきましょうかね(笑)。これは編集ではありません。ライヴの5曲目「糸」、そして6曲目「ローリング」です。

Rolling Stone Japan 編集部

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