「ETERNAL Art Space」で没⼊するデジタルアート、五感に訴えかける体験をレポート

雨が降っている中、時がとまり異空間にワープしたような感覚に誘われたのは、「Stillness」。解像度のゆるい抽象的な森のなかへ誘われ、それらはノイズの塊になり、山や庭園へと姿を変えていく。京都建仁寺塔頭両⾜院副住職伊藤東凌⽒の協⼒の元、フォトグラメトリー技術により三次元化したデータを、ミニマルな「点」のランドスケープと「うねり」のサウンドスケープにより禅の世界観の⼀端を表現した本作。周波数の異なる波形を左右に配置し、その⾼低差から⽣まれる「うねり」や倍⾳成分に着⽬。⾳の隙間やそれぞれの重なりから聴こえてくる微細な⾳の存在を意識づける仕掛けもされており、五感に訴えかけてきた。


Photo: Shigeo Gomi


Photo: Shigeo Gomi

続くは、マシンガンのような無機質なインダストリアルサウンドとともに、白と黒の数学的な図形が画面を侵食していく「Dimensional Sampling」。2019年に曹⾬⻄スタジオが始めたデジタルコンテンポラリーアートプロジェクトで、QRコードを模した表現などが現代感を強く感じさせる。デジタル世界と実⽣活の両⽅からの抽象的なサウンドエフェクトが組み合わされており、携帯電話やコンピューターの聞き慣れた⾳を再編成して処理、⾳楽⾔語と⾳の⽅向性を加⼯することで、3次元の⾳空間を作り出しているという。数学的で無機質な美しさと、どこか恐ろしさも感じるようなエッジの効いた作品に圧倒された。


Photo: Shigeo Gomi


Photo: Shigeo Gomi

Rolling Stone Japan 編集部

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