Aile The Shotaが語る『AINNOCENCE』の全貌

シティ・ポップを作ろうと思った理由

―Aile The Shotaを始めるときに、具体的にどういったアーティスト性や方向性を考えたのでしょう。

やっぱり考えたのは、オーディションを受ける前の「nabepotato」「Yum Ferrii」(以前のソロアーティスト名義)があって、「THE FIRST」を通っての、「Aile The Shota」だと思っていたので。それもしっかりと意識しながらどういう音楽をやりたいのかを考えていきました。これはJ-POPを聴いてきた影響なんだろうけど、サビのキャッチーさとか、メロディラインの綺麗さみたいなものは、最初に出した「Drizzle」(nabepotato名義)から変わらず意識しています。変則的なトラックとかこだわりある音を使ってても、サビはしっかりキャッチーに、ということを意識していて、そこがAile The Shota像を保っているひとつの要因なのかなとは思ってます。

―『AINNOCENCE』について、1曲ずつ聞かせてください。まず1曲目「AURORA TOKIO」。そもそも、シティ・ポップを作りたいと思ったのはどうしてだったんですか?

自分が聴きたい曲を作りたいと考えたときに、「シティ・ポップを1曲作りたいな」と思って。もともと歌謡曲も好きで、ちょっとそういった懐かしさが流行ってるなと感じたのと同時に僕も好きだと思っていたので。歌謡曲とJ-RAPやヒップホップのノリみたいなのものを混ぜたものをやりたいなと思いついて、今最先端を走っているShin Sakiuraさんと2020年代のシティ・ポップを作れたら面白い曲ができそうだと確信したのがきっかけです。ファンだったので「Shin Sakiuraさんとやりたいです」みたいなことを日高さんとしゃべってて、日高さんも「Shin Sakiuraくんいいよね」って言ってて、「やる?」「いいんですか?」みたいな流れで。実際にShin Sakiuraさんと打ち合わせをさせてもらったら、もう僕の頭の中のものを全部キャッチしてくれて(笑)。トラックが上がったときは震えましたね、「もう絶対にいい曲!」って(笑)。リリックの世界観としては、僕がシティ・ポップを歌うとしたら、東京生まれ東京育ちのシティ・ポップを等身大で歌うのが面白そうだなと思ってて、トラックがすごすぎたので歌詞がバンバン浮かんできました。



―東京生まれ東京育ちのShotaさんは、東京をどう捉えているんですか?

東京生まれ東京育ちと言いながらも、実家が都心ではないので、大学に行くまで渋谷とかにはあんまり行ってなかったんですよ。「シティボーイってそんなに大したことないよ。別に普通だよ。目の前土手だし(笑)」みたいなところから書き始めました。<シティボーイはfantasy>というのは、「みんなが描いてるシティボーイはそんなんじゃないよ」みたいなところから来ています。あと、最近になるまで僕の中で渋谷とかはガヤガヤしてて苦手な街だったんですよね。でも制作のタイミングで、ギラギラしてる中でもぱっと俯瞰すると綺麗だなって気づき始めたんです。「シティボーイなんてファンタジーだよ」ということと、「東京ってキラキラしてて、たとえるならオーロラみたいに美しく見えるときもあるよ」みたいなこと、その2つを伝えられたらなと思ってリリックに落とし込みました。

―<スクエアで切り取る>といったワードも入ってたりして、2022年の「アップデートされたシティ・ポップ」という感じがありますよね。

そうですね。「ネオシティ・ポップ」と言ってるんですけど、サウンド感と相まって新しい感じに仕上がったのかなと思ってます。「スクエア」とかは、もともと言葉遊びが好きで、面白いフレーズを散りばめつつも軸は東京のことを歌ってるということをやれたらなと。今後も面白いフレーズが散りばめられる楽曲が続いていきそうだなって予感があります。踊れたらいいし、楽しく歌えたらいいし、みたいなノリも大事にしてるので。いい具合の適当さみたいなものは使うようにしてます。

―大事ですよね。こういうダンスミュージックで、肩の力抜いた感じを残しておくのは。

そうですね。考えずに聴ける部分もほしいなと思っているので。ノリがあってすごくフワッとしてるけど、ちょっと刺さるというか。そういう歌詞を書き続けたいですね。この曲は今の僕とShin Sakiuraさんが混ざり合って、僕の中では100点な感じがしています(笑)。

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