ミッキー吉野70歳記念アルバムをプロデューサー・亀田誠治と語る

ミッキー吉野

日本の音楽の礎となったアーティストに毎月1組ずつスポットを当て、本人や当時の関係者から深く掘り下げた話を引き出していく。2022年2月の特集は「ミッキー吉野70歳」。2月2日に、ゴダイゴをはじめ、ザ・ゴールデン・カップス、ソロ活動、作曲家・ミッキー吉野としての代表曲を様々なアーティストがカバー、フィーチャリングしたアルバム『Keep On Kickin’ It』が発売された。パート1とパート2はアルバムのプロデューサーである亀田誠治を迎え、ミッキー吉野の音楽家としての偉大さを探る。

田家秀樹:こんばんは。FM COCOLO「J-POP LEGEND FORUM」案内人・田家秀樹です。今流れているのは「The birth of the odyssey ~ Monkey Magic feat. JUJU 」。言わずと知れたゴダイゴの1978年の大ヒットです。アルバム『西遊記』の1曲目でありました。2月2日に発売になったアルバム『Keep On Kickin’ It』からお聴きいただいています。今週の前テーマはこの曲です。



今月2022年2月の特集は「ミッキー吉野70歳」。4歳でピアノを始めて、14歳でプロデビュー、天才キーボディストとして16歳のときにザ・ゴールデン・カップスに参加、19歳でボストンのバークレー音楽大学入学。24歳でタケカワユキヒデさんを誘って結成したのがゴダイゴ。お茶の間だけでなく、アジアで最初に成功したロックバンドになりました。ミッキーさんの70歳の誕生日は12月13日。12月22日に記念アルバム『Keep On Kickin’ It』が配信され、2月2日にCDとして発売になりました。ゴダイゴはもちろん、ザ・ゴールデン・カップスやソロ活動、作曲家としての代表曲を様々なアーティストがカバー、音楽家としての全体像にフォーカスしたアニバーサリーアルバムです。今月は4週間かけてこのアルバムをご紹介していこうという1ヶ月。前半2週のゲストはアルバムのプロデューサー・亀田誠治さんに、後半2週はミッキー吉野さんご本人をお迎えして全曲をご紹介しようという1ヶ月であります。こんばんは。

亀田誠治:こんばんは。よろしくおねがいします!

田家:まずはプロデュースを依頼されたときのことをお聞かせいただけますか?

亀田: 2020年夏の話です。着信があってディスプレイにミッキー吉野って書いてある。「え!?」と思って、「何が起こっているんだろう、ミッキーさんから電話? 嘘でしょ!? 偽ミッキー吉野じゃないの!?」ってぐらいびっくりして。電話に出たら、「ミッキーです。僕は2021年、70歳の古希を迎えるんだけどコロナ禍の閉塞感を打ち破って、自分の音楽史のキャリアの集大成になるようなアルバムを作りたい。自分一人だけだとどうしても偏ってしまうので、誰かアドバイスをしてくれる人がいてくれるといいなと思う」って控えめにお話をされて、「亀ちゃんだったら若いアーティストのことも知っているし、僕ら世代のことも知っているし、いいアドバイスをしてくれるんじゃないかと」って(笑)。「ミッキーさん、それ僕と一緒にアルバム作ろうってことですよね?」と言うと、「うーん、なんかアドバイスをもらえればね」っておっしゃっていて(笑)。

田家:シャイな方だから(笑)。

亀田:「ミッキーさん、もう任せてください。なんでもやります! 僕と一緒にミッキーさんの70歳、古希を祝う最高のニューアルバムを作りましょう。すべて録り下ろしで、僕と一緒にやっていきませんか?」というお話をしました。松本隆さんのアルバムも去年作りましたけど、今、僕は亀田誠治という音楽家であり、音楽プロデューサーであり、バンドマンでもある立場 で、もし音楽の神様・ミューズがいるとしたら、50代半ばの僕に「あなたは今バトンを渡す役目なんですよ」と言われている気がしたんです。なにしろ僕はゴダイゴの音楽が大好きだった。中学生のときに一世を風靡していて、それまでは全米トップ40とか、もしくはそこから派生したマニアックな洋楽というか、音楽の深みを追求する生意気な音楽少年だったんですけど(笑)。その生意気な音楽少年にゴダイゴは一気にお茶の間から直撃してきて、「かっこいい! 何このバンド! ドラムとベース外国人!? 歌詞に英語も入ってる?」と。とにかく僕の中学校時代のプラウド、日本の誇りだったわけです。約40年の月日を経て、リーダーであったミッキー吉野さんご本人に誘っていただいた。ビジョンとか考える前にまず、「イエス」と言おうという気持ちになりました。

田家:今週と来週、ミッキー吉野愛が溢れた番組になると思うのですが、2021年6月にKADOKAWAから45周年公式本『45 Godiego 1976-2021』が出て、その中に亀田さんとミッキーさんとタケカワさんの座談会が載っておりました。亀田さんがお書きになっていたコラムで、「もしゴダイゴをプロデュースしたら、その中にこれでウケようとか、儲けようとか、邪悪な心が入ってはあかんのです」ってお書きになっていましたよね。

亀田:音楽の宝石・ミッキー吉野博物館を未来永劫届けていくために自分は何ができるか、たくさんの人にミッキー吉野という唯一無二で稀代の音楽家による音楽があるということを伝えたいというピュアな気持ちから始まったプロジェクトですね。

田家:亀田さんが中学2年生のときに始めて買ったグレコのベース。教則カセットの先生がスティーブ・フォックスだったという話がありましたが、どんなアルバムに仕上がったか今週と来週で1曲ずつお話を伺っていこうと思います。今日の1曲目「The birth of the odyssey ~ Monkey Magic feat. JUJU」です。

Rolling Stone Japan 編集部

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