ミッキー吉野70歳記念アルバムをプロデューサー・亀田誠治と語る



田家:アルバムの2曲目「君は薔薇より美しい feat. EXILE SHOKICHI」。オリジナルは1979年布施明さん。

亀田:この曲は、国民的ヒット曲なのにミッキー吉野さんが作曲していることを知っている人があまりにも少ないんじゃないかと思ったんです。

田家:たしかに。

亀田:バトンを渡す役目の僕としてはぜひともここをクリアにしたいと思って、ミッキーさんに「君は薔薇より美しい」をぜひ入れましょうと言いました。ボーカリストを誰にお願いしようかというときに、ミッキーさんとLDHのHIROさんが実は同じ地元出身で横浜仲間で仲良しでいらっしゃったんです。

田家:中学も同じなんですよね。

亀田:そう! HIROさんはミッキーさんのことを先輩としてすごくリスペクトしていらっしゃって。この曲の話をしたときにHIROさんが「SHOKICHIが合うんじゃないかな」って仰ったんです。HIROさんのプロデューサー的な勘だと思うんですけど、ジャンルを飛び越えてSHOKICHIさんに「君は薔薇より美しい」を歌ってもらうと、とても素敵なんじゃないかと思って。レコーディング期間はコロナ禍のど真ん中でしたね。

田家:スタジオに誰も入れないような期間ですね。

亀田:スタジオに行けなくて、リモートのデータ交換で録音していたときなんですけど、まずSHOKICHIさんとオンラインで打ち合わせをさせていただいて。はじめは僕と2人でミーティングをしたんです。その中で「君は薔薇より美しい」を歌ってもらいたいとお話をしたら、SHOKICHIさんが一言ポロッと「なんかこの曲、カリブの青い空が見えるんですよね」って直感的におっしゃって、僕はそのときにMVの絵とかも浮かんできちゃいました。

田家:「できた!」っていう感じですね(笑)。

亀田:オリジナルはビッグバンドテイスト、ビッグジャズテイストなところがあるんですけど、そこを一旦取っ払って、ミッキーさんに「アレンジは僕にやらせてください」とお話しました。所謂ちょっとカリブというか、ラテンを意識したアレンジになっていった感じですね。

田家:それはSHOKICHIさんの一言からそうなったところがあるんですね。

亀田:ポロッと言った一言ですね。この番組は、アーティストの方もいっぱい聴いていると思うんですけど、ポロッと言った方がいいですね(笑)。本当に叶ったりするので。

田家:打ち合わせにはHIROさんも参加されたんですか?

亀田:リモートでしたけど、HIROさんも参加してくださって。ミッキーさんに対してのリスペクトが溢れてました。

田家:公式ブックでミッキーさんとHIROさんの対談があって、その中でHIROさんは「ガンダーラ」、「Monkey Magic」、「銀河鉄道999」のレコードは買いましたってお話をされてましたけれども。いきなりイントロなしで始まっちゃうのは亀田さんのアイデアでしょ?

亀田:僕の提案ですね。「君は薔薇より美しい」が持っていた70年代のテイスト。僕のアレンジは打ち込みを使ったダンサブルな感じになっていますけど、僕の中で基本的にラジオヒット楽曲にしたくて。であるならば、歌始まりにしたいなと思って、イントロよりも前にサビを持ってきました。こういうこともミッキー吉野さんのアルバムだからこそできることで、話しながら「こういう構成にしていいですか?」と訊いて、音楽的に良ければミッキーさんは僕に預けてくれるんです。なので、アレンジ的にもプロダクション的にもベストスコアを出せているんじゃないのかなと思いますね。

田家:そういうときにミッキーさんは「この曲のときはこうだった」とか「ここが分かってもらえなかったんだよ」みたいな話はされたんですか?

亀田:なかったですね。ミッキー吉野さん自身がアレンジもプレイもプロデュースも全部できる方なので、自分でやれる範囲を見通せちゃっているんです。なので、これは僕に委ねた方がいいという場合は完全に委ねてくれる。あと、SHOKICHIさんが打ち込みなのにグルーヴがすごいと言ってくださって。僕がベースを弾いて、ギターは石成(正人)さんが弾いて、あとはミッキーさんがキーボードを弾いているんですけど、「これどうなっているんですか?」って。自分がプログラミングをしていてもこうならないと言うので、1トラック1トラックをSHOKICHIさんに聴いてもらったんです。そしたら、「えー! ピアノ1本なのにドラムが入っているようなグルーヴがある。え、ベースこんなに歌っているんですか!」って、SHOKICHIさんともこういう音楽の作り方を分かち合えたのは今回の財産、いい経験になりました。

田家:それはいい話ですね。次はアルバムの3曲目です。「DEAD END ~ LOVE FLOWERS PROPHECY feat. STUTS & Campanella」。1977年の2枚目のアルバム『DEAD END』のタイトル曲でありました。これもかっこよかったですね。

Rolling Stone Japan 編集部

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