ミッキー吉野の音楽への情熱と美学、亀田誠治が制作中の影響を語る

ミッキー吉野

日本の音楽の礎となったアーティストに毎月1組ずつスポットを当て、本人や当時の関係者から深く掘り下げた話を引き出していく。2022年2月の特集は「ミッキー吉野70歳」。2月2日に、ゴダイゴはもちろん、ザ・ゴールデン・カップスやソロ活動、作曲家・ミッキー吉野としての代表曲を様々なアーティストがカバー、フィーチャリングしたアルバム『Keep On Kickin’ It』が発売された。パート1に引き続きパート2はアルバムのプロデューサーである亀田誠治を迎え、アルバム後半の楽曲制作の裏側やミッキー吉野の音楽に対する姿勢について語っていく。

田家秀樹:こんばんは。FM COCOLO「J-POP LEGEND FORUM」案内人・田家秀樹です。今流れているのは「銀色のグラス feat.Char」。1967年に発売になったザ・ゴールデン・カップスの2枚目のシングルです。2月2日に発売になったミッキー吉野さんの『Keep On Kickin’ It』からお聴きいただいてます。今週の前テーマはこの曲です。

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田家:アルバムは曲順もいろいろな楽しみ方ができるようになっていて、ミッキーさんの音楽の幅の広さは前半だけでも十分に感じられますが、時代で言うと「銀色のグラス」が象徴的な曲になります。

亀田:ミッキーさんのミュージシャン、音楽家としてのキャリアの最初にあるザ・ゴールデン・カップスをどう取り上げるか? ということを今回アルバムを作る中でミッキーさんとたくさんお話させていただきました。

田家:どんな話をされたんですか?

亀田:ザ・ゴールデン・カップスの中ではミッキー吉野さんが1番年下だったこととか、音楽性であったり。ザ・ゴールデン・カップスは日本のトップ・ミュージシャン、トップ・アーティストたちを輩出したバンドじゃないですか。そういった歴史であったり、今の若者たち、ミュージシャンたちにどれだけ影響を与えたのか、当時の若者たちにとってどういう存在だったのか、そんな話をしました。僕はザ・ゴールデン・カップスの音楽をリアルタイムで聴いておらず、後付けで勉強していった部分と、ミッキーさんの実体験から聴かせていただいたものに対して、どれだけ接点を作っていくかに時間をかけた感じです。あと、ミッキーさんの周りでザ・ゴールデン・カップスの時代から一緒に歩んできた方々が、ここ数年の間に亡くなってしまって。ミッキーさんはニコニコ笑いながら、「みんなはもう上の世界に行っちゃったからさ」なんておっしゃっていたんですけれど。当時、キラキラの才能を持っていたミュージシャンたちの熱量を、このアルバムで今にどう伝えていくか考えたとき、ミッキーさんとOKAMOTO’Sのハマ・オカモトくんが対談をしているのをラジオで聴いたことがあって。そこでハマくんのザ・ゴールデン・カップスに対する豊潤な知識とリスペクトを知ったんですね。どの曲のどのフレーズがイケてたとか、ザ・ゴールデン・カップスは洋楽カバーも先駆的にやっていたので、この曲はカップスの方がかっこいいとかハマくんが解説していて。2人の会話を聴いて、僕の中でこの楽曲でのベースプレイヤーはハマ・オカモトくんだと思いました。

田家:ハマ・オカモトさんありきだった?

亀田:1番最初に声をかけました。ドラムを誰にしようかというときに、金子ノブアキくん。金子マリさんのお子さん。

田家:はい、ジョニー吉長さんのお子さんでもあります。

亀田:ノブアキくんとも交流がずっとあり、10代の頃から知っていて。ザ・ゴールデン・カップスの何人かのメンバーはもう天国に行ってしまっている中で、もう1回ファミリーを構築できたらいいなと思ったんです。音楽愛からの血の繋がりと、本当に血の繋がりがあるような仲間と一緒に作っていきたいなと。選曲はわりと早い段階で「銀色のグラス」に決まって。理由はミッキーさんに訊いてもらうとよいんですけど、ミッキーさんが加わる前の楽曲だからなんです。ミッキーさんは「銀色のグラス」にすごく愛着があって、ご自身が音楽ファンとして聴いていたザ・ゴールデン・カップスの楽曲だった。これは僕もハマくんもあっくんもみんな同じ意見なんですけど、数あるグループサウンズというカテゴリーに括られるアーティストバンドの中で、めちゃくちゃ先鋭的で、しかもワルだった。他のグループサウンズは「キャー!」って女の子のファンが失神しちゃったりするんだけど、ザ・ゴールデン・カップスは楽器と音楽だけで勝負していた印象があって。

田家:じゃあその曲をなぜCharさんがやることになったかは曲の後にお聞きしましょう。アルバムの6曲目です。「銀色のグラス」。

Rolling Stone Japan 編集部

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