ツタロックフェス2022クイックレポ:秋山黄色が放つ、説得力に満ちた音楽と言葉

秋山黄色(Photo by Masanori Fujikawa)

本日3月20日、幕張メッセ国際展示場9・10・11ホールで開催中のツタロックフェス2022。秋山黄色のクイックレポートをお届け。

【写真を見る】秋山黄色のステージ(記事未掲載カットあり)

楽曲の全てを手掛ける1996年生まれのソロアーティスト、秋山黄色はギタリスト、ベーシスト、ドラマーとともに登場した。ふらりとステージに出てきた時の両手をポケットに突っ込んだ、まるで馴れ合うつもりなんてないぜ、と言わんばかりの態度に、おぉ、だったら見せてもらおうじゃないかとがぜん期待が高まった。

SEからそのままなだれこんだ1曲目の「アク」の轟音の演奏と言葉をちょっと乱暴に投げつける秋山の歌に、観客はどう反応したらいいのかちょっと戸惑っているようにも見えたが、きっと想定内だったはず。

「ツタロック暴れていこうぜ!」と声を上げ、ファルセットを交えた伸びやかな歌声を聴かせる「アイデンティティ」に繋げると、秋山は曲が持つ刺々しさに潜ませたキャッチーな魅力を存分にアピール。観客の気持ちをがちっと掴んでいった。

「いっとき、一生ライブができないんじゃないかと思ってシュンとしてたけど、昼間のこんな時間にこんなに集まってくれるなんて、アーティスト心配すんなって気持ちになって、ほんとみなさんに支えられてると思います。(この2年間、ライブができなかった)鬱積がハンパないので、全部ぶっ放したいと思います!」




Photo by Masanori Fujikawa

シーケンスを含め、ギミックを駆使したエキセントリックなアレンジを、バンド・サウンドで再現した「見て呉れ」、ギターのみならずベースも歪ませ、轟音の演奏で圧倒したロック・ナンバー「PUPA」。どの曲でも轟音のリフがガツンと鳴る。

「1個1個のライブが新しい人々との出会いだと思っています。(秋山のライブを)初めて見た人、手を挙げて。よし! おまえらを責任持ってファンにします!」

そんな言葉を説得力あるものにするのは、1曲1曲、熱度の高い演奏だ。

「俺がウワサの秋山黄色。音楽に浸かったみなさんの時間をムダにはしない!」と言った「とうこうのはて」では、“借金まみれ”なんて言葉も歌う歌詞とは裏腹のアンセミックな曲調に手拍子で応える観客の手が高々と突き上げる拳に変わった。その頃には秋山とバンドが放つ熱気は、フロアの最後列にまで伝わっていた。

駆け抜けるように演奏した「ナイトダンサー」から一転、秋山がラスト・ナンバーに選んだのは、バラードとも言える「モノローグ」。

「時間なんて、考え方次第でなんぼでも余裕で戻ってきます。みなさん、今日は全力で取り戻してください」

そんなメッセージを込めながら、最後の最後にメランコリックな楽曲をじっくりと聴かせ、観客の心の奥底にズドンと強烈な印象を残す。筆者を含め、この日、間違いなく少なくない人が秋山黄色のファンになったはずだ。


SET LIST

M1. アク
M2. アイデンティティ
M3. 見て呉れ
M4. PUPA
M5. とうこうのはて
M6. ナイトダンサー
M7. モノローグ

※「ツタロックフェス2022」クイックレポート一覧はこちら


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