原田知世が語る「若さ」にとらわれない生き方、「守ってあげたい」を50代に歌い直す意味

 
川谷絵音らとのコラボワークについて

─ニューアルバムの冒頭を飾る「一番に教えたい」は、高橋久美子さんが作詞、ゴローさんが作曲というコンビによる3作目となります。高橋さんの魅力はどんなところに感じますか?

原田:高橋さんの歌詞は、子供でも分かるような、とてもシンプルな言葉を使っているのに、とても深い世界が広がっています。その歌詞にゴローさんのメロディーが乗ることで、より深みを増す。ある時は清々しさがあり、ある時は地に足のついた大人の逞しさがある。ただ「温かい」だけでなく、いろんな要素が込められているんです。

毎回このコンビは詞先でつくっているので、ゴローさんは大変そうですけどね(笑)。でも、待っていると素晴らしい曲をちゃんと上げてきてくれる。しかもゴローさんが詰めきれないところは、今度は高橋さんが言葉を調整してくれて、それを私が歌ってみてさらに微調整して……というふうに、3人で協力し合いながらチームで作り上げています。あまりきっちりと決め込まず、最終的にどこに着地するのか分からないまま進めていくのも楽しいです。



─今回、初タッグとなった川谷絵音さんとは、どんなやりとりをされたのですか?

原田:川谷さんとのコラボは、姪っ子が教えてくれたindigo la Endの曲を聴いて、「この方の書いた曲を歌ってみたい」と思ったのがきっかけでした。最初はゴローさんも含めてZoomで顔合わせをしました。川谷さんの、地声とファルセットを行き来するメロディが本当に素晴らしくて、私はまだそこがちゃんとやりこなせないところがあるなと思っていたんです。なので、もし川谷さんに書いていただくなら、まさにそこの部分を強化して、次のステップに行けるようなトライをしたいという話をして、後はもう自由に書いてくださいとお願いしました。

─そうして出来上がった「ヴァイオレット」は、まさに川谷さん節が炸裂しています。

原田:川谷さんの声が聞こえてきそうですよね(笑)。

─網守将平さんとのコラボ曲「邂逅の迷路で」についてはどんな印象を持ちましたか?

原田:網守さんから頂いたデモ音源を聴いたとき、思わず懐かしさを感じたと言いますか。スッと心に入ってくるメロディに、「これは名曲になるな」と確信しました。歌詞は網守さんから「ぜひ高野寛さんに」とリクエストをいただいてお願いしたのですが、お二人のコラボレーションも素晴らしかった。網守さんにはボーカル・ディレクションもしていただいたのですが、ご自分のビジョンがとてもクリアに見えていて、思ったことをズバズバ言えちゃう人だし(笑)、でもそれがすごくピュアな感じがして素敵でした。

─キセルの辻村豪文さんも、かれこれ長いお付き合いですよね。

原田:辻村さんに書いていただいた「くちなしの丘」(『music & me』収録)が大好きで、この15年で一番歌っている曲なんですよ。なので、アニバーサリーの時期がくるとまた曲を提供していただきたくなってしまうんです。今回の「真昼のたそがれ」も、今までとまた違う曲で、ゴローさんのアレンジも素晴らしく、いい化学反応が起きているなと思いました。

ただ、歌うのはすごく難しかったです。こういうメロディは一体どうやって生まれるんだろう?って思います。デモをもらうと辻村さんが普通に歌っているのだけど、自分で歌ってみると「こんなふうになっているんだ!」と驚くばかり。『恋愛小説』(2015年)というカバーアルバムを作った時のように、演じているような歌い方もできて、今作の中ではちょっと異彩を放つ大事な曲になりました。

─個人的にビートルズが大好きなので、今作では鈴木慶一さんによる「アップデートされた走馬灯」が特にグッと来ました。

原田:(笑)。ゴローさんもビートルズが大好きですから、ああいった素敵なアレンジに仕上げてくださいました。

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