キース・リチャーズが語る「死」との向き合い方、ストーンズ新作の行方、クラプトン騒動

 
「誰の中にも悪魔は棲む」

ー『Main Offender』の「Wicked as It Seems」は、ストーンズの後の楽曲「Love Is Strong」に共通するものを感じます。まるで従兄弟同士のようです。あなたにとってこの2曲は、同一線上にある作品でしょうか?

キース:「Wicked as It Seems」と「Love Is Strong」が従兄弟同士だというのは、間違いないね。実際はもっと近い存在かもしれない。

ー別々の道を歩んだ一卵性双生児のようなものでしょうか。あなたは、同じ材料から様々な作品を作り出すことができる人です。

キース:奇遇だな。俺もこの2曲には同じことを感じていたよ。とにかく、ひとつのテーマから2つの楽曲が出来上がったということだ。時期的にも、ほぼ同じタイミングで作った。今聴き返してみると、「もっと作れたはずだ」と思う。




ーオープニング曲の「999」からは、ZZトップを連想するという人が何人もいます。そんな話を聞いたことがありますか?

キース:言いたいことはよくわかるよ。でも「999」は、俺から言わせれば物の値段について歌った曲だぜ。

ーあなたにしては珍しく、いつもよりもギターのトーンが歪んで聴こえます。

キース:そうだな。たぶん、エフェクターのペダルを間違えて踏んだんだろう(笑)




ー最後の「Demon」は、美しい曲です。“俺の中に悪魔が棲む”と歌っていますが、ご自身と重ねているのでしょうか?

キース:難しい質問だ。誰の中にも悪魔は棲んでいると思う。俺自身もそれを認めているってことさ。

ー私の考え過ぎかもしれませんが、アルコールやドラッグへと誘惑する“悪魔”が、才能を開花させてクリエイティブな方向へと導く“悪魔”でもあり、どちらかを選べるものではない、と解釈しました。根源は一緒だということです。

キース:その通り。ここで言う悪魔が、必ずしも邪悪なものとは限らないということだ。物ごとをスパークさせられるかもしれない。この曲を書いた時は、俺も同じことで悩んでいた。ダークな方へ……でも悪魔は、エネルギーを与えてくれるものだと気づいたのさ。

ーあなたの中の悪魔を、死なせてはいけないのかもしれませんね。

キース:善か悪かを決めるのは自分自身だ。そんな存在を信じるかどうかも自分次第だ。しかし悪魔に乗っ取られたら、従うしかなくなる。

Translated by Smokva Tokyo

 
 
 
 

RECOMMENDEDおすすめの記事


 

RELATED関連する記事

 

MOST VIEWED人気の記事

 

Current ISSUE