キース・リチャーズが語る「死」との向き合い方、ストーンズ新作の行方、クラプトン騒動

 
「Gimme Shelter」誕生秘話

ー『Main Offender』制作時、あなたは48歳だったと思います。当時は、ロックをプレイするには歳を取り過ぎていると言う人間もいたでしょう。今となっては笑い話です。当時を振り返ってみて、いかがですか。

キース:20代の頃は、今よりもずっと老けているのではないかと思うこともあった。でも結局は、自分自身をどう見ているか、他人からどう見えるか、という相対的な問題さ。俺はいつでも、人生の明るい方だけを見るようにしているからな。

ー今回のボックスセットには、The X-Pensive Winosのライブも収録されています。あなたの歌う「Gimme Shelter」は、必聴です。元々はあなたが書いた楽曲ですが、ご自身で歌ってみてどう感じましたか?

キース:Winosのライブでやったことすら忘れていた。この曲を作った日のことが、ふと蘇ったよ。場所はロンドンのマウントストリートで、雨の日だった。激しい嵐が近づいて、人々が雨宿りの場所を探していた。この曲は、そんな日常の風景から生まれたのさ。そしてもちろん、曲として仕上げるには、ストーリーを膨らませなきゃいけないと思った。たったひとつの嵐から、もっと色々とね。それから俺の歌うこの曲を聴くのはライブ以来だったから、何だか差し迫ったものを感じたよ。「Gimme Shelter」には愛着があるんだ。

ーミック(・ジャガー)は、この曲にどう関わったのでしょうか?

キース:膨らませるのを手伝った。俺が女性とのデュエットを入れたいと言ったら、展開を作ってくれた。それから何というか、よりビジュアル的な存在感を増して、ステージ映えする曲に仕上がった。レイプや殺人といった事件には、やじ馬が集まるだろう?




ー1992年にこの素晴らしいソロアルバムを作ってから、2015年まで次のソロ作品を出さなかったのには、何か理由があるのでしょうか?

キース:特にない。不思議なことだが、その頃はストーンズで忙しかったんだと思う。それから赤ちゃんができて……まあ産んだのは妻だが。次のソロアルバムに取り掛かったのは、ストーンズの活動が長い休みに入ったからだ。「Talk Is Cheap」や「Main Offender」を作った時と、全く同じ理由さ。2012年10月頃に、また時間ができたということだ。

そしてスティーヴと俺は……とその前に、(マネージャーの)ジェーン・ローズに言われたのさ。「スティーヴを呼びなさい。ストーンズの活動がどうなるか指をくわえて待っていないで、何かしたらどう?」ってね。そうでもしなければ、俺はぶらぶらと遊んでいるだけだったかもな。それもいいが、堕落した生活はダメだ。ラッキーなことにスティーヴとスケジュールが合って、一緒に何か作ろうということになった。Winosとして長いこと一緒にやってきたメンバーもいるし、素晴らしい人々との出会いもあった。『Crosseyed Heart』も、好きな作品のひとつだ。ストーンズとしての活動のプレッシャーが全くない時期だったからこそ、それぞれのソロ作品に集中できたのだろう。

Translated by Smokva Tokyo

 
 
 
 

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