キース・リチャーズが語る「死」との向き合い方、ストーンズ新作の行方、クラプトン騒動

 
ストーンズ新作の行方

ー2016年に、ローリングストーン誌のカバーストーリー向けに、あなたとミックとロン(・ウッド)にインタビューした際、ブルーズのカバーアルバム『Blue & Lonesome』の他に、新曲によるスタジオアルバムを準備していると仰っていました。その後、ストーンズのニューアルバムはどうなっていますか。なぜそんなに時間が掛かっているのか、などと無礼な聞き方はしません。できるだけ丁寧にお伺いします。どうして長い時間をかけていらっしゃるのでしょうか?

キース:今俺が言えることはないな。でも知っておいて欲しいのは……俺が君らに何を知って欲しいと思う? とにかく俺は音楽をやっているのが好き、ということだ。こっちに仕事がなければ、あちらでやるまでさ。

ーニューアルバム向けに、チャーリーが自身のドラムパートをレコーディングしていたとの報道もありました。事実ですか? チャーリーは、次のアルバムのレコーディングを終えていたのでしょうか。

キース:全く事実ではない。チャーリー・ワッツがプレイしていたのは事実だ。昨年はミックと何曲かやったり、俺とも多くの曲をプレイした。でもチャーリー・ワッツの心境としては「僕はいなくなる存在だから、レコーディングしておこう」などという感じではなかった。彼はそんなタイプの人間ではない。そういう考え方も嫌いな人だった。チャーリーは、「曲ができたから、ちょっと来て一緒にやってくれよ」と頼まれたらプレイする、という感じだった。彼流のやり方さ。チャーリー・ワッツとレコーディングした作品は、たくさんあるさ。彼が亡くなった当時もアルバムの制作中だったからね。でもな……愛すべき素晴らしい人間だった。


Photo by Claude Gassian

ーストーンズとしてのアルバムを仕上げるために、スティーヴが何曲かプレイするという選択肢もあるかと思います。いかがでしょうか。

キース:俺たちが今年中に解決しなければならない課題のひとつだと思う。もちろん、レコーディングを続けるのであればドラムは必要だし、その時はスティーヴ・ジョーダンに任せるだろう。数カ月前にツアーが始まる頃は、「チャーリーなしではとてもできない」と俺は言っていた。でもチャーリーが、「いいかキース、スティーヴとならできる。これまでもずっと彼とやってきたじゃないか。彼ならいつでも僕の代わりができる。君もよくわかっているだろう」と、俺を説得したのさ。だから、スティーヴに能力があるかないかという問題ではなかった。今後どうまとまっていくかが楽しみだ。全てがうまく収まったことに驚いている。このままもっと色々やってみたいと考えている。

ーもちろん、これまでとは違った感覚だと思います。

キース:もちろんだ。メンバーに新しい血が加わることで、エネルギーを感じた。スティーヴは、「あれこれとやり過ぎたくはない」と自制していた。でもスティーヴには、俺たちを路頭に迷わせることなく気持ちよくプレイさせてくれた、チャーリー・ワッツの流儀が身に付いている。スティーヴは経験豊かなプロのドラマーだし、チャーリー・ワッツの熱心な信奉者だからね。彼は「望みであればチャーリーのようにもプレイできるよ」と言って、俺を驚かせた。でも俺は「スティーヴ、君に任せるよ。チャーリーがそこにいたら、俺は彼に任せる。それと同じだ。今は君がそこに座っている。だから君のやり方でやればいい」と、彼には伝えた。ツアーは上々だった。だから、今年も同じメンバーで続けない理由はない。

Translated by Smokva Tokyo

 
 
 
 

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