キース・リチャーズが語る「死」との向き合い方、ストーンズ新作の行方、クラプトン騒動

 
クラプトン騒動に思うこと

ーポール・マッカートニーが、ストーンズはブルーズのカバーバンドだと発言しています。なぜだと思いますか?

キース:「前後の文脈を無視して、僕の発言を切り取られた」と、ポールからメッセージをもらっている。彼は「初めてストーンズを聴いた時の印象を話した」と言っていた。ポールと俺はよく知った仲だから、報道を見た時にも「ああ、発言の多くをカットして編集されているんだな」と思ったよ。報道の翌日、ポールから「くだらない記事を目にしたかもしれないが、完全に僕の発言を無視した内容だからね。本当だよ」というメッセージを受け取った。だから俺も、ポールの言うことを信じている。

ーあなたがかつて、ビートルズのアルバム『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』をゴミの寄せ集めと呼んだことへの仕返しかと思いました。

キース:仕返しをしようと思えばできただろう。でもポールはそんな人間ではない。彼に同情するよ。彼からはすぐにメッセージが来た。もしも彼が俺たちに文句があったのなら、わざわざメッセージを送ってよこさないだろう。ポールは素晴らしい人間だ。あんな良い作品を書ける人間を、非難することなんてできないさ。メディアのくだらない報道は放置して、無視するようにしている。

エリック・クラプトンの騒動について、どう思いますか。彼は突然、ワクチン反対の声を上げ始めました。

キース:全くわからない。たぶんワクチンに対して、昔ながらの考え方を持っているのだろう。エリックは個人的に好きだし、付き合いも随分長い。彼は、浮き沈みが激しい時期があった。でも……とにかく新型コロナウイルスに限った話さ。コロナのせいで人々は分裂し、しばらくの間、道を誤る場合もある。俺は何のコメントもしない。ただ「考え直して欲しい。正しいことをしよう」とだけ言いたい。早くこんな状況が終わって欲しい。それだけだ。俺の想いは、皆が医者の言うことを聞いて早く元の生活に戻ろう、ということだ。なぜそんなにムキになって抵抗する人がいるのか、理解に苦しむ。インフルエンザの場合には、こんなにも抵抗を感じていないのに。それよりも悪い状況だ。俺は医者でも何でもない。しかしコロナは、人々に厄介な影響を及ぼしている。お互いに辛抱が必要だ。そして少しでいいから、思いやりの気持ちを持つべきだ。

ーストーンズの60周年について触れていましたが、バンドの60年を総括していただけますか?

キース:60年間をまとめて話せる奴なんて、どこにいると思う? こんなにも長く続くなんて、奇跡だと思う。しかし、今年はバンドとして何かしなければならない、ということはわかっている。バンドの気持ちがひとつになった時に、何かを成し遂げられるだろう。

ー最後になりますが、ひとつ伺いたいと思います。6年前にも同じ質問をさせていただきました。どのように死の瞬間を迎えたいか、という質問です。あなたは「ステージの上で派手にくたばりたい」と答えました。

キース:今も変わらないね。でも、まだくたばらないぞ!




キース・リチャーズ
『Main Offender』(30周年記念エディション)
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Translated by Smokva Tokyo

 
 
 
 

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