She Her Her Hersが語る『Afterglow』、多彩なイメージとアイデアの源泉を探る

中国のファンの反響

─中国ではどんなふうに受け止められているのでしょう。

松浦:例えば「Bloody Mary Girl」(『location』収録)という曲は、ちょっとオリエンタルなテイストがあるんですよ。現地スタッフによれば、鳴っているシンセの音も、中国のある都市で夕方に鳴るチャイムの音に似ているらしくて(笑)。きっと僕らの音楽には、ちょっと言葉にできないような感覚というか。郷愁を誘う感じがあるのかもしれないですね。僕ら基本的には日本語で歌っているんですけど、歌も音色の一部みたいな。それが「シーハーズらしさ」につながっているし、ちょっとインストバンドを聴いているような感覚もあるんじゃないのかなと思います。ライブ会場にtoeのTシャツを着た人もいたし(笑)。

─へえ!

松浦:それと、ちょうど僕らが中国へ行った頃辺りから、レコードプレーヤーが普及し、流行り始めたみたいで、物販として持っていったアナログレコードもすごく評判良かったんです。ライブでも感じたけど、熱量というか「音楽に対する貪欲さ」が、僕らを初心に帰らせたりもしてくれてすごく新鮮なツアーでした。

─そもそも中国のレーベルからは、どんなふうにアプローチがあったのでしょうか。

松浦大樹:ホームページからDMをもらいました。2018年にリリースした『SPIRAL』という5曲入りのCDで、初めてシーハーズとしてのブランディングというか、音楽やアートワークなど全てがをリンクさせることができたと思えたんです。そのときに日本より早く反応してくれたのが、北京のWearyBirdRecordだったんです。その頃は僕らも、「自分たちの音楽が届く場所って一体どこにあるんだろう?」と思っていたタイミングだったので、すごく嬉しかったですね。

とまそん:『stereochrome』の時とはメンバーも変わって、そこでバンドも一新したというか。「ここから始まった」感はすごくあったんですよ。バンド全体の歴史でいうと、結成からかれこれ10年が経つのですが、自分たちとしてはかなりフレッシュな気持ちでいますね。

松浦:しかも、どんどん楽しくなっている感じはあるよね。もちろんそれは、自分たちの向かうべき方向性が定まってきたのも大きい。基本的に作曲は(高橋)啓泰が、作詞は僕ととまそんが手掛けているのですが、今回は出来上がったアルバムを自分たちでも繰り返し聴いていて。自分たちの作品を素直に「好き」と思えて、日常的に聴きたくなるのは今、バンドがものすごく健康な状態にある証拠かなとも思っています。

高橋:大樹が言ったように、『SPIRAL』あたりからアートワークを含めていろんなものを一つひとつ見直すモードに入っていて、それが届くところにはちゃんと届いていることに大きな手応えを感じているし、今後しばらくはその延長線上で広げていけたらいいなと思ってやっていますね。

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