She Her Her Hersが語る『Afterglow』、多彩なイメージとアイデアの源泉を探る

「映像を文字にしている感覚に近い」

─高橋さんがメロディを作り、とまそんさんと松浦さんが歌詞を書く、その土台さえしっかりしていれば、あとはサポートメンバーが参加したり、楽器を持ち替えたりしながら流動的に音楽を作ったとしても、それは「シーハーズ」の音楽として成り立つ自信があるからこそ、今おっしゃったようなアプローチができるのでしょうね。

高橋:そう思います。

松浦:曲によってバイオリン、パーカッション、サックスも入ってます。数年前に Rhyeのライブを観に行って、そのときにトロンボーン奏者が曲によってはギターを弾いたりしているのを観て「これだ」と思ったんですよ。マイク・ミロシュ(Vo)がステージからいなくなってインストが始まったりもしていて。「こういうの、シーハーズでもやりてえ!」と思ったんですよね。音源はすごく静謐なのに、ライブはめちゃくちゃ躍動感があるところもかなりインスパイアされています。ボン・イヴェールとかもそうですよね。

─確かに。

松浦:正直、これまでのシーハーズはそういうフィジカルの部分が弱かったところもあったんですけど、Keityが参加してくれたり、他にもサポートメンバーが流動的に加わってくれたりしたおかげで、自分達が思い描いていたイメージにかなり近づいてきている気はしています。

─今回とまそんさんと松浦さんは、歌詞をどのように作っていったのでしょうか。

とまそん:最初から最後までストーリーを組み立てていくというよりは、まずメロディに合う言葉を選んでから、それを並べてパズルのように言葉を埋めていく作り方でした。同じ意味の言葉でも、「k」で始まるのか「s」で始まるのかで響きが全く違うしメロディの印象にも影響を与えるので、その辺りのセレクトにはものすごく時間をかけましたね。

松浦:僕の場合はまずテーマを先に決めることが多いですね。例えば「Arrows」という曲は、デモトラックを聴いたときに母親の胎内にいるイメージが湧いてきたので「生命」について書こうと思いました。テーマは大抵2、3個設定していて、「Arrows」の場合は「生命」の他に「愛」や「喜び」というキーワードがあって、そこから映画のプロットを組み立てていくみたいな感じで長い文章を書くんです。で、その中から特に心を動かされたチャプターを選び、さらにディテールを描きこんで歌詞に落とし込んでいく。映像を文字にしている感覚に近いかも知れないです。



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