吉田理幹が語る悩みと転機、「やさしいひとたち」であろうと決意した理由

ーその後、レコード会社のオーディションがきっかけで知り合った佐々木陽吾さんとThe Super Ballを結成し、2016年にはメジャーデビューを果たします。吉田さんも佐々木さんも喧嘩しないくらい温和な性格だとインタビューで語っていますが、ぶつかり合いたいみたいな気持ちはないですか?

吉田:真面目と言われることが嫌な時期はありました。「売れる人って尖っているんだよね」っていろいろな人に言われたし、納得できるんですよ。自分も陽吾さんもダメなのかなと思ったりもしたんですけど、ここまで活動を続けてきて、それが強みなんだから活かせる音楽をやり続けたらいいんだよって自分たちで思えるようになりました。



ーそんなThe Super Ballの活動と並行して、どうしてやさしいひとたちというバンド活動も始めようと思ったのでしょう?

吉田:2年間ぐらい悩んでいたんです。The Super Ballで何をやったらいいのか、どうしたらもっと広がるのか分からなくなり、ゴールが見えなくなってしまった時期があって。もともとバンドへの憧れがあったし、何か環境を変えてやることで違った発見もあるかなと思ったときに、新しい挑戦をすることで、いろいろな引き出しを作れたり成長できたらいいなと思って始めました。

ーバンド名の由来は?

吉田:自分の1番の長所ってどこだろうなと人に訊いたりもしたんです。そしたら、「やさしい」って言われることが多くて。やさしいだけの男が嫌で、もっと尖って生きたいとか、ちょっと悪い部分を見せたいと思う時期もあったんですけど、無理に着飾っても嘘がバレてしまうと思うようになって。周りもそう言っているし、自分もそう思うので、やさしいひとたちであろうと思うようになったんです。

ー女性目線からの歌詞が多いですが、客観的に見ると報われない恋だとしても、それを信じ続けるようなものが多い印象を受けます。

吉田:たぶん自分は綺麗な事が好きで、綺麗なものを綺麗と思いたい人間なんです。もちろん、そんな綺麗事を言われても……と思う人もいっぱいいるから、迷っていた時期は、もっと尖った方がいいよなと思いながら歌詞を書いていました。でも、自分が言いたいことがやさしさだったりするので、ようやく思っていることと歌詞が一致したというか。10割の人にいいと思ってもらおうと考えていたんですけど、コロナ禍を経て、1割の人に深く刺すってことが、自分が音楽を続けていくために必要なことなんだと思い始めました。

Rolling Stone Japan 編集部

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