ザ・リーサルウェポンズが異様さを大切にする理由、作家・爪 切男が聞く

ザ・リーサルウェポンズ

異様な雰囲気をまとった2人組が令和に旋風を巻き起こそうとしている。音楽、映画、アニメ、プロレス、ゲームなど、80年代の影響を色濃く受け、それらを愛し、自分たちの表現として昇華させた極上のエンターテインメント。それらを生み出すのは、日本人のアイキッドとアメリカ人のサイボーグジョーによる、ザ・リーサルウェポンズだ。

2019年1月に東京の都立家政で結成された彼らは、パロディやオマージュを感じさせる楽曲制作から、MVのプロデュース、そしてプロレスのリングを舞台にたけし軍団やDJ KOOなども呼び込んだライブなど、好きなものを全て詰め込み発信をし続けている。そんな彼らにインタビューするにあたり、同じくプロレスや80年代の音楽やカルチャーに大きな影響を受け、ユーモラスながらグッと胸を突き刺す小説やエッセイを描き続けている作家・爪 切男にインタビュアーをオファー。それぞれの作品を生み出す上での苦悩や哲学についてざっくばらんに語ってもらった。(編集部)


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「ロックの一番面白いところは、そのレコードを聴いたことによって、その人が変わってしまうところである」
「ロックというのは、聴いている人間の日常的な変化の物語なのである」

 これは、先日亡くなった文筆家の松村雄策さんの言葉である。
 ザ・リーサルウェポンズを見るたびに、私はこの言葉を思い出す。個人的に今一番ロックを感じるバンド、それがザ・リーサルウェポンズだ。

「イロモノ」とひとことで片付けられても仕方のないふざけた格好をしたアメリカ人と日本人。そんな二人が作り出す80年代の影響を色濃く受けた極上のエンターテインメント。
 音楽、映画、アニメ、プロレス、ゲーム……自分が生まれ育った年代のカルチャーから熱い何かを貰った人たちが、それらを長年愛し続けた「情熱」、いや、そうすることでしか生きられなかった「情念」をグッドミュージックに乗せ、令和の世にまき散らす様は爽快この上ない。
 ただ、これは単なる懐古主義なんかではない。いうなれば大人の反抗期。バカなフリをしてさらっとすごいことをやる。大人の反抗期ってやつはなんともかっこよく、そしてたちが悪い。

 世代が違うとか好みじゃないという理由で、ザ・リーサルウェポンズを敬遠する人もいるだろう。それは別におかしなことではない。
 だが、彼らの姿を見て欲しい。彼らの曲に耳を傾けて欲しい。人生を生きていく上で大切なのは「正解を見つけること」ではなく、「自分の好きなものを好きであり続けること」だとあなたは気付かされるはずだ。
 夜を駆け続け、うっせえわと言い続けるのは、なかなかできることではないのである。
 さあ、あなたのロックンロールをザ・リーサルウェポンズという最高のイロモノから始めてみよう。(爪 切男)


Rolling Stone Japan 編集部

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